2020 Fiscal Year Research-status Report
ヒト毛包原基大量培養法を用いた毛髪再生医療実現化に関する基礎的研究
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19K10026
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
蛯沢 克己 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (20397459)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀井 譲 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (10257678)
福田 淳二 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (80431675)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 毛包原器大量培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ヒト毛包組織由来細胞より大量の毛包原器を作製・移植を行い、再生した毛包・毛髪が質的・量的に毛髪再生医療の実現化に必要な要求を満たせるかの検討を行っている。市販の角化細胞と毛乳頭細胞では、われわれの作成する毛包上皮幹細胞と毛乳頭の混合混濁液を播種するのみで自律的に毛包原基(self-sorted hair follicle germ:以下 ssHFG)の長期での発毛はある程度認めるものの、発毛効率が低かった。そのため、同一個体からの毛包由来上皮細胞と毛乳頭細胞の使用が必要であると考えた。しかし、COVID-19 感染症の蔓延のため、今年度は昨年度以上に毛包ドナーのサンプル収集に難渋した。その結果、本年度も両細胞の単離を経験する機会がきわめて少なく、比較的容易な毛乳頭細胞初代培養の細胞増殖がやや安定した程度の技術改善に留まっている。角化細胞に関してもサンプルごとの細胞増殖結果が不安定であり、様々な条件を振って検討する状態には至らなかった。これらの細胞を用い、実験計画に従い酸素透過性シリコンゴムを利用した培養器に播種したところ、ssHFGは作成可能であった。これをヌードマウス背部皮膚に移植を行ったが、発毛率はかなり低い結果と成り、さらなる改善が必要であった。 今年度は、International Society of Hair Restoration Surgery 2020に参加し、発毛関連因子や 胞移植を含めた毛髪再生医療に関する世界の進捗状況や問題点に関する情報を収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
理由 本年度は、COVID-19感染症蔓延のため、健常なヒト毛包組織を得る症例がきわめて少なく、あまり細胞単離技術が向上しなかった。毛包由来上皮由来細胞を必要細胞数まで増殖させることがまだまだ難しく、ある程度増殖した例でも、移植後の発毛率がかなり低かった。そのため、本実験を予定通り進めることができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19感染が収まってきたら、ホームページなどで今まで以上にドナーのリクルートを行い、まずは症例数を重ね、細胞単離技術の問題を改善する。また、毛包誘導能のある上皮細胞の増殖の問題を解決すべく、細胞単離の方法、添加因子を含めた培地、細胞播種濃度、培養方法などに関して、さまざまな手法を試行し、最適化を行う。細胞単離から移植までの手技が安定して行えるようになれば、申請書の計画に沿って行う。
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Causes of Carryover |
研究が遅れているため、パイロットスタディー分だけしか使用していないため、次年度利用額が生じた。 来年度は上皮細胞と毛乳頭細胞の培養に関する検討を、今年以上に広く検討するために実験を行うために使用する予定である。
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