2019 Fiscal Year Research-status Report
高機能間葉系幹細胞の選択的培養増殖法の開発と組織肥沃化・血管新生治療への応用
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19K10033
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
白土 タカ子 自治医科大学, 医学部, ポスト・ドクター (50790391)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ヒト脂肪組織 / 高機能間葉系幹細胞 / マイクロスフェア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ヒト脂肪由来幹細胞集団内における高機能間葉系幹細胞を選択的に培養増殖させる新規的な培養法を開発し、組織肥沃化・血管新生のために、その細胞集団を利用した効果的で根本的な再生治療法を開発することを目標とする。 そこで、高ストレス耐性を示す細胞群を高機能間葉系幹細胞とし、抽出段階でストレスを与えることでMuse細胞を含む高機能間葉系幹細胞を選抜・増殖・活性化させると同時に、培養条件の最適化により、高機能間葉系幹細胞を大量培養する方法を開発することを第1の目的とした。 まず、複数のマイクロスフェアを使って浮遊培養と接着培養双方の環境を実現することで、ヒト脂肪組織から抽出した間質血管細胞群に含まれる高機能間葉系幹細胞およびその他の幹細胞を増殖させる条件を検討した。マイクロスフェアと細胞の数、攪拌の条件をさまざまに変えて、細胞の増殖を観察した。その結果、いずれのマイクロスフェアでも高機能間葉系幹細胞およびその他の幹細胞が増殖していることを、電子顕微鏡像、細胞数カウント、フローサイトメトリー、遺伝子発現解析、免疫染色により確認した。特に、本法による5日間の培養では、脂肪幹細胞のSSEA-3陽性率は培養前と比較して1.2%から5.3%に、SSEA-3陽性細胞の数は11.8倍に増加した。これは同じ時間、通常のディッシュ培養を行った場合と比較して、それぞれ4.8倍(陽性率)、3.3倍(細胞数)であった。また、免疫染色および遺伝子発現解析から、各種多能性マーカーの増加が確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高機能間葉系幹細胞とその他の幹細胞を同時に培養増殖させる最適な条件を見出すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
高機能間葉系幹細胞の大量培養・保存を行う。培養で得られた高機能間葉系幹細胞の分化能を解析し、血管内皮前駆細胞や脂肪幹細胞と合わせて疾患マウスモデルでの創傷治癒や組織肥沃化効果、血管新生効果などといった再生治療効果について調べる。
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Causes of Carryover |
手術で余剰となった脂肪組織が少なかったため実験回数が当初の予定より少なく、細胞の大量培養が行えなかった。また、実験で使用する試薬についても予備実験で以前に購入していたものの余りを使用したため、大幅な未使用額が発生した。細胞の大量培養を次年度で行うための経費として次年度使用額が生じた。
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