2019 Fiscal Year Research-status Report
A study on the roles of glial cells against inhibitory interneurons in neuropathic pain states
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19K10042
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
寺山 隆司 広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (60333689)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 痛覚異常 / 神経損傷 / 収斂投射 / ミクログリア / 三叉神経知覚核群 / 脊髄 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では末梢神経損傷後の痛覚異常に中枢神経系ニューロンの興奮性の変化やグリア細胞の活性化がどのように関与しているのかを検討している。その中で特にグリア細胞の抑制性介在ニューロンに対する役割に注目している。今年度は脊髄神経系における神経損傷モデルを用いて、中枢2次ニューロンの興奮性の変化に2次ニューロン周囲のミクログリアやアストロサイトなどグリア細胞の活性化が関与していることを明らかにするとともにこれらの変化が痛覚異常の病態に関連していることを明らかにした。また、神経損傷後の痛覚異常に対するアデノシンA3レセプターアゴニストの効果を検討した。アデノシンは慢性疼痛に対して鎮痛効果があるといわれているが、全身投与した場合の心血管系への副作用が懸念されている。アデノシンA3アゴニストは副作用もなく、慢性疼痛への臨床応用が期待されている。そしてアデノシンA3レセプターアゴニストが神経損傷後の中枢投射部位におけるミクログリアの活性化および異常な収斂投射を抑制することで痛覚異常の発症や程度を減少させることを明らかにした。これらの研究成果は歯科基礎医学会ならびに日本解剖学会中国・四国支部学術集会で発表するとともに、これまでの研究成果をもとに日本口腔顔面痛学会学術集会において招待講演を行う機会を得た。さらに、神経損傷後のグリア細胞の抑制性シナプスに対する役割を検討するために、神経損傷後に興奮性(VGLUT1やPSD95)および抑制性シナプスマーカー(VGATやGephyrin)の動態を検討している。この検討において現在までのところ明確な成果は得られていないが、研究を継続し神経損傷後の痛覚異常の発症メカニズムの解明に役立つ知見が得られることを期待する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、神経損傷後の薬剤投与のグリア細胞に対する効果を明らかにし、研究は進展してはいるが、注目している抑制性介在ニューロンの動態に関する研究成果を得ることが困難であったので想定以上には進展できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
神経損傷後の痛覚異常の治療においては、すでに発症し持続する痛覚異常を元の状態に戻すことが重要であり、今後の課題である。痛覚異常の慢性期には収斂投射が持続しているものと考えられ、その収斂投射には抑制性シナプスに対するグリア細胞由来の脱抑制効果が重要な役割を担っていると考えている。その効果をコントロールすることで痛覚異常の治療法の開発につながることを期待する。
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Causes of Carryover |
本年度に神経損傷後のシナプスマーカーの動態を検討し、その結果をもとに各種抑制剤の効果を検討する予定であったが、シナプスマーカーの分析結果が明確ではなかったため、次の実験に移行しなかったため未使用額が生じた。このため、分析結果を明らかにし、抑制剤の効果に関する実験を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることにしたい。
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Research Products
(4 results)