2019 Fiscal Year Research-status Report
Identification of cysteine peptidases that assure complete dipeptide production in periodontopathic bacteria
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19K10045
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
根本 孝幸 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (90164665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小早川 健 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 技術職員 (10153587)
根本 優子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 客員研究員 (10164667)
佐々木 実 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (40187133)
下山 佑 岩手医科大学, 歯学部, 講師 (90453331)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 歯周病 / 口腔細菌 / ペプチダーゼ / N末修飾 / ジペプチダーゼ / ジペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
歯周病菌Porphyromonas gingivalisは糖質を分解せず、細胞外タンパク質を利用することで、細胞のエネルギー産生と炭素原をまかなっている。しかも取り込みの中心は遊離のアミノ酸ではなく、ジペプチドである。ジペプチドを産生するのは我々が発見した2酵素を含めた4種類の ジペプチジルペプチダーゼ(DPP)である。4種類が揃うことで多様なアミノ酸配列を分解可能にしている。しかし全DPPはN末端修飾ペプチドを分解できない。そのために我々が(根本ら、JBC, 2016)発見したアシルペプチドオリゴペプチダーゼ(AOP)が、選択的にN末端修飾ジ-、およびトリペプチドを遊離していると考えられた。本研究ではP. gingivalis以外の2細菌のAOPと比較検討することにより、基質特異性にはやや違いがあるものの、基本的には全てが疎水性アミノ酸で、かつN末修飾ペプチドに親和性が高いことを見いだした。しかもその中でもP. gingivalis AOPはN末修飾ペプチド依存性が高いことから、改めてP. gingivalisにおいては、N末修飾の除去が重要なミッションであることが示唆された。 歯周病菌体内にはジペプチドを分解するペプチダーゼがあると推測される。そこで歯周病菌でこの作用を持つペプチダーゼを検索し、ついにPrevotella intermediaにおいてN末端Argに高い親和性を示すジペプチジルペプチダーゼを発見することができた。本酵素はLactobacillu helveticusで既に報告されているC69ファミリーメンバーではあったが、最初の2つの報告でこの酵素の基質特異性に測定上の不備があって、N末端が疎水性のアミノ酸に選択的であるとされていたが、今回の報告をもとに、L. helveticusの酵素のおいても再検討したところ、全てがArgに親和性が高いことが判明して、本C69酵素の基本的な性質に関して訂正することとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
歯周病菌Porphyromonas gingivalisが発現し、細胞外タンパク質を分解するエキソペプチダーゼを網羅的に見いだすことを目的の一つにしているが、現在まで成功していない。しかし、やはり歯周病菌の一つであるPrevoterra intermediaが、細胞内に取り込んだジペプチドを2分子の遊離アミノ酸にするC69ファミリーのシステインペプチダーゼを同定することができた。この点は歯周病菌の外来性ペプチドの代謝経路を明らかにできたと言える。現在はさらに同じ機能を持つペプチダーゼが P. gingivalisにも存在するかどうかを検討している。 我々が以前にP. gingivalisにおいて発見したアシルペプチドオリゴペプチダーゼ(AOP)に関して、歯周病菌以外の2種類の細菌AOPと比較することで、とりわけ歯周病菌AOPが、N末修飾ペプチドを遊離する活性が高いことが判明した。このことは我々が以前に提唱したように、歯周病菌では、N末修飾ペプチドの修飾を解消することで、DPPにペプチド基質を提供するという役割が特に重要であることを示している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の目的通りに、歯周病菌における新規ペプチダーゼの網羅的解析を遂行する。同時にこれまでにわれわれが発見してきた新規ペプチダーゼの役割をさらに明らかにするための検討を行う。例えばわれわれはPre. intermediaにおいて、ジペプチダーゼを見出したが、P. gingivalisにおいてはそのような酵素はまだ報告されていないので、その実体を明らかにする。 我々はこれまで歯周病菌がジペプチドを産生する仕組みの中心にあるDPPについて研究してきた。さらに我々はこのジペプチドを細胞内膜内に取り込む仕組みに関して興味を持っている。ゲノム情報からP. gingivalisにはそれぞれひとつの3種類のアミノ酸/オリゴペプチドトランスポーター(SstT、POT、OPT)が存在していることが判明している。しかしながらこれまでは、そのうち一つSstTだけの報告があり、アミノ酸トランスポーターとして作用することが確認された。しかし、P. gingivalisにおいてはジペプチドの取り込みが優勢だと思われるので、これを取り込むトランスポーターがOPTか、POTか、それとも両者が関与しているのかを明らかにしてゆく予定である。
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Causes of Carryover |
次年度は論文発表等他の支出がある。
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