2020 Fiscal Year Research-status Report
Macrophages in trigeminal ganglion contributes to the ectopic orofacial pain following inferior alveolar nerve injury
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19K10049
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
篠田 雅路 日本大学, 歯学部, 教授 (20362238)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 良憲 日本大学, 歯学部, 准教授 (80582717)
人見 涼露 日本大学, 歯学部, 助教 (70548924)
岩田 幸一 日本大学, 歯学部, 特任教授 (60160115)
久保 亜抄子 日本大学, 歯学部, ポスト・ドクトラル・フェロー (70733202)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 異所性疼痛 / 下歯槽神経損傷 / 一酸化窒素 / 三叉神経節 / IFN-gamma / 三叉神経脊髄路核尾側亜核 |
Outline of Annual Research Achievements |
下歯槽神経損傷に起因した異所性異常疼痛発症に対するIFN-gammaシグナルによるマクロファージの活性変化とその役割を解明するため,実験を開始した。IFNgammaはマクロファージを強力に活性化してNO放出を促すことが知られているために本研究ではIFN-gammaシグナルをターゲットとしているが,別のシグナルがマクロファージ活性化に関与する可能性も十分考えられている。その場合は,候補シグナルを変更するなどの適切な軌道修正を行うこととしていた。現段階ではIFN-gammaシグナル解析の成果を得られていないため、まず先に下歯槽神経損傷に起因した異所性異常疼痛発症に対する三叉神経節 (TG) におけるnitric oxide(NO)の役割を検討した。下歯槽神経損傷後、口髭部に異所性機械アロディニアが生じた。下歯槽神経損傷6時間後,TGにおけるNO量が増加した。またTGにおいて、口髭部に投射する一酸化窒素合成酵素 (nNOS) 陽性ニューロン数が有意に増加した。nNOS 阻害薬のTG内投与後3日目、口髭部の発症する異所性機械アロディニアが減弱した。NaiveラットのTGへのNO基質投与後、口髭部に機械アロディニアが生じた。以上の結果から、下歯槽神経損傷後のTG にて合成が促進されるNOがTGニューロンの興奮性を増強する結果、異所性異常疼痛が発症する可能性が示された。 さらに、三叉神経損傷後の異常疼痛発症に対する三叉神経脊髄路核尾側亜核におけるIFN-gammaシグナルの役割を解明するため,実験を開始した。三叉神経損傷後、顔面皮膚に機械アロディニアが生じた。三叉神経損傷3日目、三叉神経脊髄路核尾側亜核におけるIFN-gamma量が増加した。また無処置ラット大槽内へのIFN-gamma投与は、顔面皮膚の機械アロディニアを惹起した。以上の結果から、三叉神経脊髄路核尾側亜核におけるIFN-gammaシグナルが顔面部異常疼痛に関与する可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、研究計画に従っておおむね順調に研究が進んでいる。これまでのデータをまとめて論文化し出版した「Involvement of Satellite Cell Activation via Nitric Oxide Signaling in Ectopic Orofacial Hypersensitivity. Int J Mol Sci. 21(4)E1252. 2020」。当講座では、研究協力者(大学院生4名)に組織の摘出および前処理の協力を仰ぎ,効率的に発現量の定量解析が可能であることから、効率的に実験を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、研究計画に従って研究を進める予定である。本年度は三叉神経損傷後、三叉神経脊髄路核尾側亜核におけるマクロファージであるミクログリアから放出されるIFN-gammaの定量解析およびIFN-gammaシグナルと口髭部機械痛覚変調の解析を進めていく。 予定より早く実験が遂行できれば、三叉神経節および三叉神経脊髄路核尾側亜核へのIFN-γ投与による経時的なマクロファージのポピュレーション変化の定量解析と顔面部機械痛覚変調の解析まで行いたい。
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Causes of Carryover |
研究計画どおり経費を使用したが、学会出席のための旅費が必要なくなったため、予想していたより少ない経費で結果を出すことができ、繰越金が生じた。次年度への繰越金は、令和3年度の助成金と合わせて物品費に使用する。
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Research Products
(2 results)