2020 Fiscal Year Research-status Report
酸化ストレスと骨吸収に関連した新規オートファジー制御因子の機能解明
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19K10055
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
坂井 詠子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (10176612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筑波 隆幸 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (30264055)
山口 優 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (50823308)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 破骨細胞 / RUN / FYVE |
Outline of Annual Research Achievements |
Rufy4はRUN and FYVE domain-containing protein ファミリーに属するタンパクで、N末側から順番にRUNドメイン、OmpHドメイン、C末端側にFYVEドメインというドメイン構造を有する。それぞれのドメインは特徴的な機能を持ち、RUNドメインは低分子量GTPasesのRab7と相互作用することが知られており、FYVEドメインはphosphatidylinositol-3-phosphateを介して、エンドサイトーシスやオートファジーを調節することが報告されている。令和2年度はこれらのドメインをそれぞれ欠失した変異Rufy4を作成した。
組織や細胞をアルデヒド固定しただけで、脱水、包埋、薄切などの段階を経ないで、より自然に近い状態で電子顕微鏡レベルの高解像で観察できるように開発された大気圧走査型電子顕微鏡 ASEMを用い、脱灰をしていない硬組織の水中観察を行ってきた。令和2年度には、Rufy4 の発現が少ないKeap1遺伝子欠損マウスと、野生型マウスの大腿骨および脛骨を観察して、両マウスの発生段階での軟骨内骨化の違いを明らかにし報告した(E. Sakai et al., Scientific Reports 2021, 11:5722, doi: 10.1038/s41598-021-84202-z)。
また一方、Rufy4は 酸化ストレスを制御する転写因子Nrf2の遺伝子欠損マウス破骨細胞で高い発現を示したことから、抗酸化作用を持つ化合物が酸化ストレスを抑制するとRufy4の発現も抑えられる可能性がある。令和2年度は、抗酸化作用を有する植物由来天然化合物の破骨細胞分化阻害効果についての総説がStudies in Natural Products Chemistry (Elsevier, Bookシリーズ)に受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度は、コロナ感染拡大の影響を受け、PCR関連試薬や消耗品が入手困難になったことや、物流に時間がかかり、プライマー他、購入試薬の納期が遅れるなど、想定外のことが生じ、やや遅れが見られる。
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Strategy for Future Research Activity |
野生型およびドメイン欠損Rufy4をGFP融合タンパクとして破骨細胞前駆細胞であるRAWD細胞に過剰発現させた場合の破骨細胞分化に対する影響を調べる。破骨細胞分化に必要なサイトカインであるRANKLを添加後に経日的に細胞を回収し、破骨細胞分化マーカー遺伝子やタンパクの発現をリアルタイムQPCRやウェスタンブロッティング法で比較する。最終的に形成された破骨細胞は酒石酸耐性酸性ホスファターゼ活性染色で形や大きさなどを比較する。またオステオアッセイプレート上で培養し骨吸収活性を比較する。また、GFP融合タンパクであることから、共焦点顕微鏡を用いてRufy4分子の細胞内局在の比較をする。さらにDQ-ovalbuminを用いて、オバルブミンの細胞内での分解を測定したところ、対照群のGFP発現細胞に比べて、Rufy4 遺伝子過剰発現細胞では分解の抑制が認められたことから、細胞内タンパク分解系を担うリソソームの数や形態の比較を行う。さらにRufy4と相互作用する分子の解明などを進める。
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Causes of Carryover |
コロナ感染拡大の影響で予定していた試薬・器具の品切れや、物流への影響による納品遅延が生じたため、本来今年度に予定していた実験の一部を次年度に引き続き行うことになった。ドメイン欠損Rufy4の過剰発現実験に必要な塩基配列の解析や、チューブ等のプラスティック製品などの購入に充てる予定である。
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