2019 Fiscal Year Research-status Report
The interaction between Runx2 and Wnt Signaling regulates the osteoblastic differentiation and function.
Project/Area Number |
19K10056
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
永野 健一 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (60834348)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | Wnt Signaling / Runx2 / 骨芽細胞分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、骨芽細胞分化の必須因子であるRunx2と情報伝達系Wnt Signalingの古典的経路に着目し、これらの連関による分化と機能制御メカニズムの解明を目指すことである。2019年度においては、骨芽細胞分化、機能制御における古典的Wnt経路の役割に関して検討した。これまでの研究において、従来用いられたマウスよりも高効率に骨芽細胞特異的遺伝子欠損を誘導できるCol1a1EGFP-Creマウスを利用した、骨芽細胞特異的Runx2欠損マウス(以下、Col1EGFP;Runx2 cKOマウス)の作出、機能解析が進められている。本研究では、米国Jackson Laboratoryより古典的Wnt経路の必須因子であるβ-cateninのfloxマウスを導入し、Col1EGFP;Runx2 cKOマウス作出と同様の手法によりβ-cateninを骨芽細胞特異的に欠失させたマウス(以下、Col1EGFP;bCat cKOマウス)の作出を行った。β-catenin floxマウスとCol1a1EGFP-Creマウスは遺伝的背景がわずかに異なっており、この遺伝的背景の差異が骨量に影響することを示唆する過去の報告があることから、戻し交配を数世代繰り返すことにより遺伝的背景の差異を出来うる限り最小にした後、Col1EGFP;bCat cKOマウスを作出した。また2020年度以降にRunx2とWnt Signalingとの連関による骨芽細胞分化・機能制御のメカニズムの検討を行うために、Col1EGFP;Runx2 cKOマウス及びβ-catenin floxマウスを交配させることにより、骨芽細胞特異的にRunx2, β-cateninの両者を欠失させたマウス(以下、Col1EGFP;Runx2;bCat dcKOマウス)の作出を進めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、2019年度においてCol1EGFP;bCat cKOマウスを作出し、胎児及び成体マウスを用いた各種解析を進め、同時にマウスより採取した試料を用いてin vitroにおいての検討を行うこととしていた。しかしながら、動物実験施設より動物飼育スペースの問題に起因して検疫レベルの高度な飼育室への移動を要請され、胚作製および個体復元を行う必要性が生じたため、その間は必要なマウスの繁殖、交配を停止せざるを得なかった。また、上述したβ-catenin floxマウスとCol1a1EGFP-Creマウスとの遺伝的背景の差異を解消するための戻し交配に係る期間によっても遅れが生じた。更に、Col1a1EGFP-Creマウスは従来のマウスより高効率ではあるが、雄性マウスを交配に用いると低頻度ながら非特異的にCreを発現する可能性があり、骨芽細胞特異的遺伝子欠損マウスを作出するためにCre発現の特異性を随時確認する必要があった。これらの点から本来必要としたマウスの作出に遅れが生じ、当年度の各種解析を当初の計画通り進めることがやや困難であった。
|
Strategy for Future Research Activity |
2020年度から2021年度にかけては骨芽細胞におけるRunx2とWnt Signalingとの連関に関する検討を行う予定であったが、これをCol1EGFP;Runx2;bCat dcKOマウスの作出がなされて以降(2020年度後半を予定)より開始することとする。前半はCol1EGFP;bCat cKOマウスのin vivo解析、in vitro解析を継続し、2020年度中の完了を目指す。Col1EGFP;bCat cKOマウス解析の早期完了を果たすために、マウス繁殖数を増加させ、効率よく解析を継続する。移動した飼育室ではより広い飼育スペースが確保されており、繁殖数の増加に関しては問題なく行うことができる。解析に必要となる試薬や機器は2019年度中に購入、利用済である。
|
Causes of Carryover |
米国Jackson Laboratoryより導入したβ-catenin floxマウスが当初予定より高額であり、また動物実験施設からの要請で胚作製および個体復元を行う必要が生じたことから前倒し支払い請求を行った。一方で解析に用いるマウスの作出に遅れが生じたため、マウス飼育に係る費用や解析に係る費用分の使用が遅延した。2020年度よりマウス繁殖数の増加、及び2019年度中に完了しなかった解析を進める予定で、次年度使用額はそれらに資する予定である。
|