2020 Fiscal Year Research-status Report
22q11.2欠失症候群の顎顔面異常に関わる頭蓋底軟骨の分化制御メカニズムの解析
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19K10062
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
梶原 景正 東海大学, 医学部, 客員講師 (00204397)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 穣 東海大学, 総合医学研究所, 特任教授 (10146706)
内堀 雅博 東海大学, 医学部, 助教 (50749273)
太田 嘉英 東海大学, 医学部, 教授 (60233152)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 22q11.2欠失症候群 / Sez12 / DGCR2 / Df1 / TGF-beta / GFP |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、22q11.2欠失症候群の原因遺伝子として、同領域にコードされるDGCR2遺伝子に注目し、マウスホモログSez12遺伝子のノックアウト/GFP遺伝子ノックインマウス(Sez12-KO)を用いて研究を進めている。今年度では、ヒト22q11.2のマウス相同ゲノム領域の多くをヘテロ型に欠失した変異マウス(Df1/+)を用い、Sez12遺伝子との交配マウス(ダブルヘテロマウス)とホモ型Sez12-KOマウスとの比較検討を行なった。前年度、分化過程のホモ型Sez12-KO軟骨細胞で認められたTGF-betaシグナル亢進による細胞分化阻害が、ヘテロ型Sez 12にもかかわらずダブルヘテロマウスでも顕著に観察できた。さらに、内在性Sez12プロモーター領域の下流にノックインされたGFP遺伝子の発現解析では、TGF-beta投与により誘導されるGFP遺伝子の発現レベルがダブルヘテロ軟骨細胞でも顕著に高く、ホモ型Sez12-KO軟骨細胞と同程度まで達していた。以上のことから、Sez 12発現システムは、TGF-betaにより誘導され、さらにこの発現誘導にはSez12遺伝子近傍にコードされる調節因子がSez12遺伝子発現を制御していることが認められた。従って、既に前年度で軟骨内骨化の多様な細胞分化過程でSez 12遺伝子がTGF-betaシグナルを抑制させることが認められており、これに加えて、近傍のゲノム領域に存在するいくつかの遺伝子機能により誘導発現が制御されている可能性が考えられた。おそらくヒトにおいても、22q11.2欠失領域の遺伝子群がヘテロ型に欠失する状況で、誘導性のDGCR2遺伝子発現が近隣遺伝子機能の影響を受け、22q11.2欠失症候群としての症状を引き起こす可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
22q11.2欠失症候群発症に関わるDGCR2遺伝子機能の解析により、ヘテロ型Sez12, ヘテロ型Tbx1のダブルノックアウトの変異マウスで、ホモ型Sez12ノックアウトの表現型と同様な顎顔面形態異常を確認することができた。この原因について初代軟骨細胞レベルで検討したところ、既に構成的に発現しているDGCR2タンパク質よりも、TGF-betaシグナルで誘導発現するDGCR2が表現型発現に重要である知見が得られた。これらの研究成果により、22q11.2欠失領域でヒトDGCR2遺伝子とともにコードされる遺伝子機能と複合または協調して軟骨細胞の分化過程を制御し、頭蓋底軟骨結合に関連した顎顔面形態形成に役割を果たす可能性が考えられた。ただし当初予定であったCRISPER/Cas9システムを用いたヒトDGCR2ノックアウト細胞作成は次年度に継続する計画に変更した。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度のマウス個体および細胞レベルでの知見を踏まえ、引き続きヒト細胞株HEK293細胞を用いCRISPER-Cas9システムによるヘテロ型およびホモ型DGCR2遺伝子欠失細胞(DGCR2-KO細胞)を作成する。さらに既にDGCR2で同定され、また22q11.2欠失症候群の症状に関与するとの知見をもつ一塩基多型(SNP)をもつ変異DGCR2を発現させるプラスミドを調製し、DGCR2-KO細胞に導入し、TGF-betaシグナルとの関連性を検討する。これらSNPを含む変異DGCR2の発現ベクターは、Sez12ノックアウト細胞にも導入する。以上のヒトおよびマウスのノックアウト細胞についてTGF-beta投与によるTGF-betaシグナルの変化をルシフェラーゼ・アッセイにより検討する。またBMPなど、他の軟骨細胞の増殖分化に関わるシグナルについても検討する計画である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染問題で国内外の学会発表が全てウエブ開催となったため、学会参加費・渡航宿泊費の未使用分が発生した。このため本年度の予算の余剰を次年度使用額として計上した。次年度では、これらの未使用予算を次年度の学会渡航宿泊費として予算に計上する計画である。また使用計画としては、変異マウス由来の初代軟骨細胞を用いたノックインGFP発現解析とヒト細胞株HEK293を用いたDGCR2-KO細胞の作成およびSNP挿入DGCR2発現実験を行う予定で、このために培養試薬・培養用プラスチック器具・組織化学的解析試薬・生化学的解析試薬を購入する。またデータ解析するための学内共有機器などの使用料、マウス飼育料金などに使用する計画である。またデータ解析するための学内共有機器などの使用料、マウス飼育料金などに使用する計画である。さらに学術論文作成および投稿にかかる費用についても使用する計画である。
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Research Products
(5 results)