2020 Fiscal Year Research-status Report
新概念に基づく骨芽細胞分化制御機構の解明と鎖骨頭蓋骨異形成症に対する治療薬の開発
Project/Area Number |
19K10063
|
Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
齋藤 暁子 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (90722835)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野寺 晶子 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (90637662)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 疾患iPS細胞 / 骨芽細胞分化 / ラミノパチー |
Outline of Annual Research Achievements |
鎖骨頭蓋骨異形成症(CCD)はRUNX2遺伝子のヘテロ欠損変異に起因する骨芽細胞分化異常を伴う遺伝性骨疾患であるが、根本的な治療法が存在しないためにさらなる病態解明が求められている。これまでRUNX2欠損細胞が核溝や分葉核といった異常な核形態を示すことを発見し、核構造維持に関連する遺伝子群の発現が著しく低下していることを見出した。 核膜タンパク質の異常はラミノパチーという一連の疾患群を引き起こすことが知られているが、現在までに骨組織での報告はない。我々はCCDがRUNX2機能低下を介した核構造崩壊に伴う転写制御異常に起因するラミノパチーではないかと考え、本研究ではRUNX2の核膜構造制御を介した新たな骨芽細胞分化制御機構を解明するとともに、他のラミノパチーで試みられている薬剤がCCD治療薬として利用できるか否かについて検討する。 核変形を示すRUNX2欠損細胞において細胞核の弾性率を原子間力顕微鏡を用いて調べたところ、核膜自体の弾性率はRUNX2+/+細胞よりRUNX2欠損細胞の方が小さく、逆に核全体の弾性率はRUNX2欠損細胞の方が大きいという結果が得られた。すなわちRUNX2欠損細胞では核膜自体の軟化により変形が生じ、クロマチンが凝集塊を形成しているのではないかと考えられた。また、RUNX2欠損iPS細胞に核膜タンパク質を強制発現させたiPS細胞を作製し、骨芽細胞分化誘導すると、核形態および細胞形態の回復が見られ、骨芽細胞分化マーカーの上昇が認められた。さらには他のラミノパチーにおいて核形態異常に対する改善効果を認める薬剤の中から、CCD骨芽細胞の核形態異常の改善効果を認める候補薬剤を数種類同定した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ノックアウトマウスが安定して産まれず、解析が遅れているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
クロマチン構造解析のための準備は進んでいるので、2021年度はChIP-seqやHi-C解析を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
コロナで物品の納品が間に合わなかったため。2021年度はChIP-seqなどに使用する予定である。
|