2020 Fiscal Year Research-status Report
In vivo Ca2+イメージングの4次元解析による島皮質感覚情報処理機構解明
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19K10064
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
藤田 智史 日本大学, 歯学部, 教授 (00386096)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 2光子励起顕微鏡 / カルシウムイメージング / 歯根膜 / 大脳皮質 |
Outline of Annual Research Achievements |
大脳皮質における体性感覚は身体の各領域に応じて、異なる場所で処理されており、体部位局在と呼ばれる。過去のマクロレベルでのイメージングから、上下顎の臼歯歯根膜の感覚情報を処理する領域の大半は重複し体部位局在が明確でなく、上顎、下顎の分別をどのように行っているかについては不明な点が多い。本研究では、この重複している領域で、上下顎の分別における個々の神経細胞活動の寄与を明らかにすることを目的としている。昨年は、2光子励起顕微鏡を用いて、マウス臼歯の歯根膜刺激に応答する神経細胞を立体に時間軸を加えた4次元(XYZ軸および時間軸)で解析するための、手法および解析するためのソフトウェア開発を進め、ある程度確立できた。本年は引き続き、データの採取に努めた。実験には昨年と同様にカルシウム指示タンパク質であるGCaMP6sを大脳皮質の興奮性神経細胞に発現した遺伝子改変マウスを用いた。ウレタン麻酔を行い、情報処理に関わる背側島皮質と二次体性感覚野の境界を中心に開窓を行い、歯根膜電気刺激に対する同部位に存在する神経細胞の活動を2光子励起顕微鏡によるカルシウムイメージングで捉えた。本年度は昨年度に引き続き得られるデータの質改善に努めた。観察条件の改良をはかり、広範囲に神経活動を捉えることが可能となった。現時点でのデータからは、上下顎の応答で優位な領域は重なる場合と、離れている場合といったような個体差があることが示唆されており、この知見が確実なものかどうかを明らかにするため、引き続き検討を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度と同様に本年度に予定した遺伝子改変動物のGCaMP6sマウスの繁殖は問題無く行えた。2光子励起顕微鏡は極めて最先端の技術で作られており、頑強性に乏しい面が存在する。本年度はレーザー照射部分およびコントロールをするための付属機器に故障をきたし、修理等の対応に追われる時期が生じた。その間、予定した実験できず、またその対応のために、研究の遂行状況はやや遅延している。予定から遅延が生じているものの、データの採取およびソフトウェアの開発は進展しており、また、機器のトラブルも解決に至り、実験計画の変更を要するような大きな影響、支障は生じていない。来年度、引き続き、上顎、下顎の分別をどのように行っているかについて検討を行える状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度はソフトウェアの開発を中心に進め、本年度はデータの採取を進めた。機器のトラブルによって一部遅延している部分があるものの、幸い実験計画の変更を要するような大きな影響、支障は機器に生じていない。本年度、導入した複数のPCによる解析による効率化も果たせている。昨年度から、観察条件の改良をはかることで、広範囲に神経活動の観察ができるようになった。今までは一度の観察では上下顎どちらか一方に対する反応領域の一部からしかイメージングできなかったが、この改良により複数回の観察を繰り返すことで上下顎歯根膜電気刺激に対する全反応領域をイメージングすることを目指す。次年度、引き続きデータの採取、解析を継続していくことで、目的とした上下顎の分別に関しての知見が得られる予定である。
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Causes of Carryover |
一部の実験が遅延し、その分に充てる予定だった費用、および、コロナの影響で予定した学会への参加をとりやめたため、残金が生じた。次年度への繰越金は、実験を継続するのに必要となるもの、成果の発表時に要するものであり、令和3年度の助成金と合わせてこれらに使用する。
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