骨基質蛋白質Dmp1の力学的負荷に関する機能解析

2021 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 19K10070
• Research Institution: Osaka University
• Principal Investigator: 佐藤 淳 大阪大学, 歯学研究科, 講師 (70335660)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 阿部 真土 大阪大学, 歯学研究科, 講師 (40448105) ; 三浦 治郎 大阪大学, 歯学部附属病院, 助教 (70437383)
• Project Period (FY): 2019-04-01 – 2023-03-31
• Keywords: 力学的負荷 / 骨

Outline of Annual Research Achievements

これまでの研究結果において、ラット実験動物において、行動・運動制限を行い、生体に与えられる力学的な負荷を減弱させた条件下では、コントロールのラット実験動物群と比較して血清中に含まれる骨基質蛋白質Dmp1の値が減少していることを見出しており、力学的負荷とDmp1の間に何らかの牽連性があると考えて、本研究を立案し実施した。
初年度2019年度の研究成果では、骨芽細胞株MC3T3細胞株を用いて遺伝子編集によるDmp1発現減弱の細胞株を樹立することが出来た。次いで2020年度には、培養細胞へ力学的負荷を与える装置の開発と装置を利用して細胞培養を行い、力学的負荷により骨芽細胞培養株にどのような変化が生じるのかを検討した。はじめに、力学的負荷の条件検討のために、4日間、10kPaの条件下でコラーゲンゲル内での三次元細胞培養をMC3T3細胞に対して行った所、この条件では力学的負荷による細胞傷害性の変化は生じない事が確認された。引き続いて、力学的負荷を40kPaまで上昇させ、培養日数も26日間に延長し、細胞培養をおこなった。力学的負荷の影響の変化を形態観察したところ、コントロール群に比較して形態学的に明らかな差は見いだされなかった。
本年度2021年度は、昨年度の条件をさらに検討すべく、力学的負荷を100kPaにまで上昇できるように力学的負荷装置の改良を行った。条件検討のために、装置の最大値である100kPaで２週間の細胞培養を行ったところ、細胞傷害性の変化は観察されなかった。またコントロール群と比較すると、好酸性の細胞外基質の産生の増加が観察され、力学的負荷による形態学的変化が認められた。

Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

2020年度中の力学的負荷の条件検討において、装置の能力内では明らかな変化が見いだされなかったために、2021年度中に装置の改良を行うことになり、実験の実施に遅れが生じることとなった。

Strategy for Future Research Activity

本年度に行った装置の改良により、力学的負荷により形態学的変化が生じる負荷の条件が明らかにされつつあるため、見いだされた条件を元に次年度は実験を遂行する計画である。

Causes of Carryover

本年度は、実験装置の改良を行ったため、その期間は細胞培養実験を実施することが出来なかったため次年度使用額が生じることとなった。
次年度は、装置を使用しての細胞培養実験を再開する事が可能になるため、細胞培養に使用する消耗品の購入に充てる計画である。