2019 Fiscal Year Research-status Report
歯周病細菌の線毛構成タンパク質の輸送機構の解明とその阻害薬の探索
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19K10072
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
庄子 幹郎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (10336175)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今田 勝巳 大阪大学, 理学研究科, 教授 (40346143)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 歯周病菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
細菌の線毛は、「宿主への定着」という感染初期の必須の過程に関わる重要な装置である。我々は、歯周病原細菌ポルフィロモナス・ジンジバリス(以下、ジンジバリス菌)の線毛が従来研究されてきた細菌の線毛とは全く異なる構造であるとともに新規な形成機構を有していることを明らかにした。また、この新規な構造および線毛形成機構をもつ線毛(5型線毛と命名)は腸内バクテロイデス細菌などを含むバクテロイディア綱細菌に普遍的に存在することもわかった。5型線毛の形成機構の特徴の1つは線毛構成タンパク質がリポタンパク質輸送機構で菌体表面に輸送されることであるが、この輸送機構は大腸菌などで解明されたリポタンパク質輸送機構とは、関与するタンパク質が全く異なる可能性が出てきた。本研究はこの輸送機構の詳細を解明することにあり、本研究成果は歯周病原細菌を始めとするバクテロイディア綱細菌の宿主定着をコントロールする方法の開発という応用研究に発展する可能性がある。 ジンジバリス菌は慢性歯周炎の最重要原因菌として知られている。ジンジバリス菌が歯周ポケット深部に付着、定着、増殖することで、病態が悪化していくものと考えられている。したがって、ジンジバリス菌の付着因子である線毛について、その形成機構を詳細に明らかにすることは新たな治療法となる開発につながる可能性がある。 これまで、ジンジバリス菌の線毛タンパク質がリポタンパク質として分泌されていることを明らかにしている。しかしながら、線毛タンパク質が内膜、ぺリプラスム、外膜をどのように通過していくのかについては不明な点が多い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
歯周病細菌の線毛がリポタンパク質であることから、大腸菌のリポタンパク質輸送分子のホモログである2種類の遺伝子について、二重変異株を作製し、その後、線毛遺伝子をプラスミド性に導入したが、線毛は形成されていた。つまり、それら2種類はリポタンパク質分子の輸送には関与していないことがわかった。 また、脂肪酸を分泌する分子として、TamA、TamB分子が知られている。それらの遺伝子を変異しても線毛が形成されていた。したがって、それらもリポタンパク質分子の輸送には関与していないことがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
リポタンパク質分子の輸送分子は必須タンパク質である可能性がある。そこで、北里大から小分子ライブラリーを分与して頂き、菌体の増殖を抑制する分子をスクリーニングしている。それらの中に、リポタンパク質輸送を阻害するようなものが見いだされるのではないかと考えています。 別の方法として、架橋剤を用いて線毛タンパク質に結合する分子を同定することも検討する予定です。
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Causes of Carryover |
あらかじめ論文校正に予定していた金額を残していましたものの論文が間に合わず、次年度使用額として生じることになりました。
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Research Products
(10 results)