2019 Fiscal Year Research-status Report
免疫受容体TREM2に着目した炎症性骨破壊のメカニズム解析と治療戦略の検討
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19K10075
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
坂東 健二郎 明海大学, 歯学部, 講師 (50347093)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 紘也 明海大学, 歯学部, 助教 (00635899)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | TREM2 / マクロファージ / LPS / M1マクロファージ / Caldecrin |
Outline of Annual Research Achievements |
マクロファージにおける LPS (Lipopolysaccharide) シグナルに TREM2 (Triggering Receptor Expressed On Myeloid Cells 2) がどのように関わっているか検討するため、RAW264.7 細胞と Trem2 KO RAW264.7 細胞を LPS で刺激した時の細胞内シグナルを確認した。すると、LPS 刺激による ERK (Extracellular signal Regulated Kinases) 1/2、JNK (Jun N-terminal Kinases) 1/2、p38 などの MAPK (Mitogen Activated Protein Kinases) のリン酸化が Trem2 KO 細胞で増強されていたが、NFκB (Nuclear Factor kappa B) には影響がなかった。さらに、マクロファージを LPS、IFN (Interferon)-γ、GM-CSF (Granulocyte Macrophage-Colony Stimulating Factor) などにより M1 マクロファージに分化させると TREM2 の発現は低くなること、Trem2 KO 細胞は RAW264.7 細胞に比べ、M1 マクロファージへの分化が抑制されることが明らかになった。これらから、TREM2 はマクロファージの LPS 応答には抑制的に作用している反面、炎症性の M1 マクロファージへの分化は促進的に作用していると考えられる。 今回、血清カルシウム降下因子である Caldecrin がマクロファージの LPS 応答性の炎症性サイトカインの産生を抑制している事が明らかになったが、Trem2 KO 細胞ではこの Caldecrin による LPS 抑制作用が認められなかった。Caldecrin は RANKL (Receptor Activator of NFκB Ligand) によるカルシウムシグナルを抑制する事が報告されており、Caldecrin がマクロファージにおける TREM2 のリガンドとして作用している可能性は高い。しかし、Caldecrin が直接、TREM2 と結合するかどうかは不明で、今後、検討すべきであると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
TREM2 の Doxycycline inducible 発現ベクターを構築し、Trem2 KO 細胞への導入し、TREM2 の発現を Doxycycline でコントロールできる細胞株の樹立のために多くの時間を費やしているものの、安定した細胞株を得るに至っていない。また、TREM2 の発現を確認する方法として、ウエスタンブロット法の条件設定がうまくいかず、 Flow cytometer で確認を行っているため、多くの時間と経費を費やしている。 その他ではおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、TREM2 の発現を on/off できる RAW264.7 TREM2 Teton 細胞株の樹立を続けていく。この細胞を用いて、Doxycycline により TREM2 の発現時期を調節し、破骨細胞分化のどの時期に TREM2 が重要なのかを検討する。 また、細胞膜貫通ドメインを欠いた soluble TREM2 の発現ベクターを作成し、HEK293 細胞などに発現させ、組換え体 sTREM2 を精製する。組換え体 sTREM2 を破骨細胞やマクロファージなどの培養系に添加し、その影響を解析していく。また、Trem2 の発現が低い骨芽細胞の培養系にも添加し、骨分化への影響や炎症性サイトカインの遺伝子発現について解析する。
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Research Products
(1 results)