2020 Fiscal Year Research-status Report
マイクロバイオータの表現型可塑性に着目した歯性病巣感染症の病態機序解明
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19K10077
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
大坂 利文 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (70514470)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | シグナル分子 / AI-2 / Fusobacterium / 大腸がん |
Outline of Annual Research Achievements |
細菌は同種間あるいは異種細菌間でシグナル分子を介して相互作用し、個々の細菌の表現型が制御されている。前年度において、大腸がんとの関連が示唆されているFusobacterium nucleatumについて、異種細菌間クォーラムセンシング分子であるAI-2産生能が亜種間で異なることを見出してきた。そこで本研究では、腸炎関連大腸がんモデルを用いて、AI-2産生能の異なるFusobacteria属細菌の病態進展への影響を評価する。実験方法としては、6~7週齢の雄マウスの腹腔にアゾキシメタン (AOM, 12.5 mg/kg-b.w.)を投与し、AOM投与1、4、7週間後に2%デキストラン硫酸塩(DSS)水溶液を5日間投与する。各DSS投与終了から1週間、AI-2産生能の異なるFusobacterium nucleatumの生菌(1 x 109 cells/ml)を経胃投与する。10~15週間後に、腫瘍発生頻度・腫瘍サイズを解析した。その結果、AI-2産生能が高いFusobacterium nucleatum投与群において、前がん病原であるaberrant crypt fociと腫瘍数の増加が確認された。今後、AI-2非産生株を作製し、Fusobacteriumの産生するシグナル分子AI-2が大腸がんの病態形成に与える影響を検証していく。さらに、大腸がんの発生時の腸内細菌叢の構造および機能についても解析していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
動物飼育施設の移転およびコロナ禍により、計画していたTLR5KOマウスを用いて実験を開始することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の夏ごろまでには、TLR5KOマウスの個体復元・繁殖を軌道にのせて、当初計画していたメタボリック症候群関連細菌の特定を試みていく。また、表面タンパク質を指標とした2D-DIGE法による腸内細菌叢の表現型解析を確立し、生活習慣病や大腸がんに関連する腸内細菌叢の機能的変性の解明を目指す。
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Causes of Carryover |
本年度は、新しい動物施設の移転およびコロナ禍により、当初計画していたTLR5KOマウスの個体復元および繁殖が予定どおりに進まなかったため、2021年度に実施していき、研究を遂行するために助成金を使用していくことを計画している。また、2020年度は予定していたタンパク質同定の受託解析も行える状況ではなかったが、2021年度はタンパク質同定の受託解析費としても使用することを計画している。
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