2021 Fiscal Year Research-status Report
マイクロバイオータの表現型可塑性に着目した歯性病巣感染症の病態機序解明
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19K10077
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
大坂 利文 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (70514470)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 口腔細菌 / 細菌表面タンパク質 / 腸内細菌叢 / プロテオーム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、複合微生物系である常在細菌叢の表現型可塑性をトレースする新しい解析技術を開発し、常在細菌叢のストレス応答、常在細菌叢の形成・変遷メカニズム、病態制御因子やバイオマーカーの探索など、生活習慣病の病態形成に関わる新しいバリア臓器内因子を解明することを目的としている。本年度は、常在細菌叢の良悪性をクリアカットに分ける細菌表面タンパク質を特定するためには、細胞表面タンパク質を蛍光標識したのちに、細胞溶解液を分画することなく2次元ディファレンシャルゲル電気泳動(2D-DIGE)を行うことを検討した。しかしながら、LEDを光源とするゲルイメージャーを用いた検出では感度が低く、細菌表面タンパク質の比較解析が困難であることが判明した。そこで、細菌表面タンパク質を精製・濃縮した試料を2D-DIGE解析するプロトコールに改良することにした。検討の結果、界面活性剤(TritonX-114, 1%)を使用したプロトコールにより、グラム陰性細菌(例 Escherichia coli, Fusobacterium nucleatum)やグラム陽性細菌(例 Enterococcus faecalis, Staphylococcus aureus)など様々な細菌種から表面タンパク質を精製することを可能となり、細菌表面タンパク質の比較解析手法を構築することができた。さらに、同手法により、マウス糞便に含まれる腸内細菌叢の表面タンパク質の精製が可能であるが、2D-DIGE解析での比較解析するためにはローディングタンパク質量の検討が必要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画していたTLR5欠損マウスの個体復元・繁殖の不良によって、TLR5KOマウスを用いた解析が実施できなかった。ただし、2021年度に新たに凍結受精卵からの個体復元を実施し、実験に使用できる見通しが立った。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、疾患マウスモデルにおける腸内細菌叢の表面タンパク質解析を実施していく。また、これまでの研究で発見したシグナル分子(AI-2)産生能が異なるFusobacterium nucleatum間の細菌表現型の違いを解析することで、AI-2高産生性Fusobacterium nuceleatumが生活習慣病の増悪化に寄与する病因を探索していく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍による研究進捗の遅れにより、本研究課題を1年間延長して研究を継続する状況にある。翌年度分として請求した助成金の使用(854,764円)は、物品費、受託解析費(タンパク質同定)、マウス飼育管理費、論文投稿費に充てることを計画している。
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