2020 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the whole structure of type V pilus of a periodontal pathogen by using cryo-EM
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19K10083
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Research Institution | Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University |
Principal Investigator |
柴田 敏史 沖縄科学技術大学院大学, 生体分子電子顕微鏡解析ユニット, 研究員 (30725057)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
庄子 幹郎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (10336175)
松波 秀行 沖縄科学技術大学院大学, 生体分子電子顕微鏡解析ユニット, 研究員 (80444511)
Wolf Matthias 沖縄科学技術大学院大学, 生体分子電子顕微鏡解析ユニット, 准教授 (90630947)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 5型線毛 / 歯周病 / バイオフィルム / アドヘジン / クライオ電子顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性歯周炎は45歳以上の日本人の半数以上が罹患している慢性感染症であり、歯の喪失だけでなく、糖尿病や動脈硬化症、心血管疾患等、全身疾患との関連も指摘される。また慢性歯周炎は個人の健康問題だけでなく、治療コストなど社会にとっても重い負担となっており、予防・治療は重要なテーマである。慢性歯周炎において最も重要な病原性細菌であるPorphyromonas gingivalis の病原性には菌体表面に形成される5型線毛が重要である。本研究はこの線毛構造をクライオ電子顕微鏡解析によって原子分解能で明らかにし、形成機構や構造と機能の関連性を解明することを目的とする。 これまでクライオ電子顕微鏡を用いて、P. gingivalis のFimA フィラメントの構造を3.6オングストロームの分解能で明らかにした。これによりFimAピリンはプロテアーゼ切断修飾後に、C末端ストランドが外側にフリップすること、そしてフリップによって露出した疎水領域に隣のピリンのC末端ストランドが結合するストランドエクスチェンジによってピリン同士が重合していることが明らかになった。また重合できないC末端アミノ酸欠損株で、プロテアーゼ切断修飾語にもピリンが菌体に蓄積することなどから、5型線毛は根元成長で形成されることを明らかにした。この研究成果はNature Microbiology誌2020年4月13日で報告した。また、P. gingivalisの宿主への結合、バイオフィルム形成や病原性に重要なMfa線毛の構造についての構造解析を行い、FimA同様にMfa1ピリンもストランドエクスチェンジによって重合していることが観察され、5型線毛の重合機構の共通性が示された。この研究成果については現在論文投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
FimAの重合体構造を明らかにし、ピリン間結合だけでなく、脂質修飾されたN末端による線毛の菌体表面への固定機構を示唆する結果を得た。これらの成果と5型線毛の重合モデルをNature Microbiology誌に発表した。 Mfa線毛の主要ピリンMfa1の構造について、ピリン間の結合を明らかにすることができる分解能の構造が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
Mfa線毛の構造解析の細密化を行うと共に、引き続きFim線毛のアクセサリーピリンのFimAーアクセサリーピリンの共重合条件検討と構造解析を進める。 さらに、異なるサブタイプの線毛構造の構造解析、比較を行うことも計画している。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症拡大のため、学会参加を見合わせた。また大学の閉鎖があり研究を行えなかった期間があったため。
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Research Products
(5 results)