2020 Fiscal Year Research-status Report
染色体工学技術を利用したゲノムライティングによる口腔がんの発生機構の解明
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19K10086
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
久郷 裕之 鳥取大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40225131)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 染色体 / がん抑制遺伝子 / がん |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ヒト扁平上皮がんにおけるヒト3番染色体上の3p21.3領域に存在が示唆されるテロメレース(TERT)抑制遺伝子(群)の同定と機能解析を目的としている。 本年度は、ゲノム編集による手法を用いて行うことにより、ヒト人工染色体(HAC)への3p21.3領域の搭載に成功した(3p21.3-HAC)。これまでは、DNA組換え効率の高いニワトリのB細胞由来であるDT40細胞を用いて、組換えサイトであるloxPをターゲット領域に挿入していたが、CRISPR-Cas9を用いたゲノム編集ツールにより、直接CHO細胞内でヒト3番染色体にloxPサイトを挿入することに成功し、3p21.3-HACを構築することができた。 加えて、3p21.3-HACをヒト口腔扁平上皮がんの細胞株であるHSC3へ導入することにより、hTERTの発現が抑制されることを確認した。 また、9つの候補遺伝子をそれぞれsiRNAでノックダウンする実験で得られていたhTERT抑制候補遺伝子AとBについては、安定発現株を樹立することにより単独でもhTERTが抑制されることを確認し、さらには、遺伝子AとBを同時に過剰発現させることでさらにhTERT抑制効果が上昇することを確認した。 以上の結果から、3p21.3領域内にヒト口腔扁平上皮がんのhTERTを抑制する遺伝子(群)が存在することが強く示唆され、さらにはその本体が遺伝子AとBである可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3p21.3-HACの構築に成功したことに加えて、3p21.3-HACのHSC3への導入実験によりhTERTが抑制されたことから、予想通り3p21.3領域にhTERT抑制遺伝子が存在する決定的な証拠を見出すことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
より生理的な発現条件下で遺伝子AおよびBのhTERT抑制機能を解析するために、それぞれの遺伝子のコード領域を含むBACの人工染色体への搭載を行っていく予定である。また、遺伝子Aおよび遺伝子BのhTERT抑制における分子機序についても解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額が異なった。しかし、差額は大きくなく、研究計画は変更せず、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく。
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Research Products
(1 results)