2019 Fiscal Year Research-status Report
IgA腎症患者の口腔検体と腎生検・摘出扁桃検体の歯科ー腎臓内科による学際的検討
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19K10098
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Research Institution | Seirei Christopher University |
Principal Investigator |
三崎 太郎 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 臨床准教授 (20464125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲野 和彦 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (00379083)
長澤 康行 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (10379167)
仲野 道代 (松本道代) 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (30359848)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | S. mutans / う蝕原生細菌 / IgA腎症 / 透析 / CKD / 慢性腎臓病 / タンパク尿 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はIgA腎症をはじめとする慢性腎臓病と口腔内疾患との関連を検討する。 ●う蝕原生細菌cnm 陽性S. mutans株とIgA腎症との関連についての病理的(扁桃)検討を行った。【目的】Cnm陽性S. mutansが扁桃を介してIgA腎症発症に関わっている可能性を検討する。【方法】腎生検で診断されたIgA腎症患者64人と慢性扁桃炎患者40人の摘出扁桃切片を, リコンビナントCnmタンパクを抗原として作製したポリクローナル抗体を用いて免疫染色し、Cnmの陽性率と臨床データとの関連を検討した。【結果】IgA腎症群では、慢性扁桃炎群と比較してCnm陽性S. mutansの陽性率が有意に高値であった(p < 0.05)。さらに、 IgA腎症群において、Cnm陽性S. mutans扁桃保菌者が非保菌者に比べ、有意に蛋白尿が多かった(p < 0.05)。【結論】扁桃におけるCnm陽性S .mutansはIgA腎症発症に関わり、患者の蛋白尿と関連する。以上はScientific Reports 2019に報告した。 ●透析患者のう蝕の研究を行った。“透析患者の口腔状態は悪く、様々な全身の合併症に影響している”と仮説を立てた。【方法】透析患者80人と健常者76人のう蝕経験歯数(DMFT)と地域歯周疾患指数(CPI)を算定し、臨床データとの関連を検討した。【結果】透析患者群では健常群と比較して、DMFTが24以上である対象が有意に多かった (p < 0.05)。また、透析患者群内の比較では、DMFTが24以上の群では24以下の群と比べ脈圧差が有意に大きく(p < 0.05)、心疾患の既往率が高値であった (p < 0.05)。CPIは有意差を認めなかった。【結論】透析患者では健常者に比べてう蝕が重篤であり、そのことが動脈硬化と関連している可能性がある。以上はPLOS ONE2019に報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1)唾液検体における標的口腔細菌種の分布と IgA 腎症の病態との関連の検討(前向き研究)、2)齲蝕・歯周病の程度とIgA腎症との関連の検討(前向き研究)、3)標的口腔細菌種とIgA腎症以外の慢性腎臓病との関連の検討(前向き研究)、4)cnm 陽性S. mutans株とIgA腎症との関連についての病理的(腎生検、扁桃)検討、と以上の4本の柱で研究を進行させている。すでに4)の課題はScientific Report 2019に報告することができた。3)の研究の一部もPLOS ONE 2019に報告することができ、研究は全体的に順調に進行している。 1)-3)の前向き研究もエントリーが終了しており、唾液検体の菌の分析などを精力的にすすめている。 それぞれの課題が進行しているのも、”口腔疾患とIgA腎症などの腎臓病が関連している”という仮説が事実であるため、結果がついてきているものと考えている。 研究はそれぞれ順調に進行しており順次論文化を進めていく方針である。
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Strategy for Future Research Activity |
●PLOS ONE2019に報告したように末期腎不全である透析患者では、健常者に比べてう蝕が重篤であり、そのことが動脈硬化と関連している可能性があることが分かった。そこで我々は、患者CTを用いて大動脈の石灰化を評価し、実際に動脈硬化と関連しているかを検討中である。透析患者という視点も重要であることがわかり、透析患者の口腔疾患の分析も進めていく。 ●腎生検を行う患者をエントリーし、唾液の口腔細菌の分析を進め、腎の様々な疾患と、口腔細菌との関連を検討し、さらに前向きに腎予後との関連の検討を進めている。 ●S. mutansとIgA腎症の関連ははっきりしてきたため、動物モデルでう蝕モデルを確立し、腎炎との関連を検討していく方針である。
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Causes of Carryover |
初年度唾液分析を予定していた一部が、まだ行えておらず残金が発生しています。エントリー患者の唾液検体数が予想より多く集まってきており、菌の分析(培養やPCR、ウェスタンブロット)などで残金を使用予定です。また研究が順調に進んでおり、論文作成を複数行っており、英文校正費や、投稿料にも使用する予定です。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Specific strains of Streptococcus mutans, a pathogen of dental caries, in the tonsils, are associated with IgA nephropathy.2019
Author(s)
Ito S, Misaki T, Naka S, Wato K, Nagasawa Y, Nomura R, Otsugu M, Matsumoto-Nakano M, Nakano K, Kumagai H, Oshima N.
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 27;9(1)
Pages: 20130
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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