2019 Fiscal Year Research-status Report
光殺菌と組織再生効果を併せ持つ新しい歯周病治療用ゲル剤の開発
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19K10102
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
加藤 昭人 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (40507571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 英也 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (50322285)
宮治 裕史 北海道大学, 大学病院, 講師 (50372256)
竹生 寛恵 北海道大学, 大学病院, 助教 (40609103)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 抗菌光線力学療法 / 金ナノクラスター / 一重項酸素 / ローズベンガル色素 / 歯周病治療 / キトサンゲル / 共鳴エネルギー移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,ローズベンガル(RB)と複合化したAuAg/RBキトサンナノゲルの一重項酸素生成量の定量,および光励起した際の細菌に対する増殖抑制効果を評価した. 実験は,AuAgキトサンナノゲル水溶液とRB水溶液(0.1mg/mL)を任意の割合で混合し,RB含量の異なるAuAg/RBキトサンナノゲルを得た.特性評価として,複合化前後の蛍光スペクトルを比較してFRETの発生を検証した.また,一重項酸素検出プローブ(ADBA)を用いたUVスペクトル測定にて,AuAgキトサンナノゲルとRBの複合比率による一重項酸素生成効率の差異を評価した.次にう蝕原因菌S. mutans(Sm)の懸濁液へ各濃度(0.01,0.1,1mg/mL)のAuAg/RBキトサンナノゲルを添加(1:1)して白色光LEDを60秒間照射後,24時間の嫌気培養を行い,濁度測定を行った. AuAg/RBキトサンナノゲルとRB単独の一重項酸素生成効率の差異を評価した結果,複合比(AuAgキトサンナノゲル:RB)1:0.1において,RBの一重項酸素生成効率はAuAgキトサンナノゲルとの複合化により,1.7倍増大することが見いだされた.AuAg/RBキトサンナノゲルにおいて,AuAgのみを光励起したところ,AuAg NCsの発光に加えてRBの発光が観測された.これはAuAg NCsからRBへのFRETによるエネルギー移動を示すものであり,RBの一重項酸素生成効率を増大させた要因であると考えられる.抗菌性評価では,AuAg/RBキトサンナノゲルの添加によってSmの濁度の低下を認め,コントロール(添加無し)に比較して有意に抑制した.また,1mg/mL濃度は最も抗菌性を示し,0.01,0.1mg/mL添加に比較して有意に低く,濃度依存的に抗菌性を発揮するものと思われた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り令和元年度は,試料の特性評価や抗菌性試験を行い,有益なデータを集めることができた.また,これらの結果をまとめて学会発表を行うことができた. 今後は計画通り,In vivoにてゲル充填剤を用いた歯周病治療の実証実験を行い,抗菌光線力学療法の有用性や歯周組織再生効果を検討していく.それらの結果をとりまとめた後は,学会発表ならびに論文投稿の予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
順調に実験は進んでおり,現在は動物実験の計画を策定中である.動物実験には指導大学院生にも研究協力(標本作製,計測・分析)をしてもらい,速やかに結果をまとめる方針である.結果は,関連学会に発表,論文投稿で本研究の成果を公表予定である.
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Causes of Carryover |
理由:当初の想定より研究遂行に必要な消耗品の使用が少なく済んだため,次年度使用額が生じた. 使用計画:次年度に実施する動物実験の手術消耗品および組織学的計測,統計分析に使用する予定である.
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Research Products
(2 results)