2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of a novel dental caries therapy based on hydrogen peroxide photolysis
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19K10105
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 圭祐 東北大学, 歯学研究科, 准教授 (30431589)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天雲 太一 東北大学, 大学病院, 講師 (80451425)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 齲蝕治療 / 第三象牙質 / 過酸化水素光分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画に沿って、in vitroの多菌種複合バイオフィルムモデルを構築した。本バイオフィルムモデルでは、酸産生菌であるStreptococcus mutansやLactobacillus caseiに加え、デンタルプラークの初期付着菌であるStreptococcus sanguinisを用いた。殺菌試験の結果、波長365 nmのLED(紫外線A:UVA)を応用した過酸化水素光分解殺菌法で1分間バイオフィルムを処理することで、3-log以上の生菌数の減少を認めた。一方、LED照射のみ、過酸化水素処理のみでは生菌数の減少は1-log未満であった。これらの結果から、過酸化水素光分解殺菌法はう蝕関連細菌を含むバイオフィルムに対して効果的な殺菌効果を発揮することが示唆された。 また、Wistarラットを用いたin vivo第三象牙質形成評価試験を行った(東北大学動物実験専門委員会承認番号:2018DnA-042)。ラットの上顎第一大臼歯をUVAのLEDを応用した過酸化水素光分解殺菌法で90秒間処理した。処理を3日連続で繰り返し、処理の翌日、7日後、21日後に動物を灌流固定して歯髄の状態を組織学的に分析した。処理の翌日には、象牙芽細胞層の乱れが認められたが、炎症性細胞の浸潤はほとんど認められなかった。処理の7日後には、第三象牙質の形成開始が認められ、処理の21日後には大臼歯歯髄の髄角部で明瞭な第三象牙質形成を認めた。組織学的分析およびマイクロCT分析の結果、第三象牙質の形成量は、LEDの出力に依存していることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していたin vitroおよびin vivo試験を実施することができた。しかしながら、in vitro試験では、共焦点レーザー顕微鏡や電子顕微鏡を用いたバイオフィルムの観察実施には至らっておらず、次年度以降の課題とした。一方、in vivo試験では、計画していた初回試験をすべて終了し、2年度目に計画していた組織学的分析まで終えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
一部遅れの出ているin vitro試験については、今後引き続き手法の確立を含めて進めていく。in vivo試験が計画よりも進めることができたため、2年度目は共焦点レーザー顕微鏡や電子顕微鏡を用いたバイオフィルムの破壊様相の観察を中心に進める。共焦点レーザー顕微鏡および電子顕微鏡によるバイオフィルムの分析はこれまでに実施した実績があり、問題なく実施できると考えている。殺菌試験の結果が一通り得られているので、同じ条件でバイオフィルムを処理した際の観察を進めるとともに、処理時間に依存したバイオフィルム破壊様相の観察も行う予定である。また、in vivo試験に関しては、順調に進んでいるため、計画に従って第三象牙質促進の解明に向けた再現性確認の試験を実施するとともに、in vivo有効性試験を時期を早めて開始する。
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Causes of Carryover |
計画していた一部のin vitro試験に遅れが生じており、それらの試験に使用する予定であった経費が未使用となった。また、予定していた海外出張がCOVID-19の蔓延のために中止となったため、その旅費に相当する額が未使用となった。
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