2021 Fiscal Year Research-status Report
副甲状腺ホルモンの骨形成促進作用を仲介する骨細胞由来の骨形成促進因子を同定する
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19K10114
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
佐藤 卓也 明海大学, 歯学部, 准教授 (00316689)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林田 千代美 明海大学, 歯学部, 助教 (40710900)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 骨細胞 / 副甲状腺ホルモン / サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
副甲状腺ホルモン(PTH)はin vivoでの投与で、破骨細胞形成を促進する一方、骨芽細胞の分化促進・活性化をし、結果的に骨形成を促進する。本研究では、これらPTHの作用を担うと考えられる骨細胞由来の因子の探索を目的としている。 これまで、PTHが骨細胞を介して破骨細胞形成を促進するサイトカインの候補を1つ見出し、その分析を行ってきた。しかし現在までに、そのサイトカインがPTHの破骨細胞形成促進作用を担っていることを明確に示すには至っていない。 一方、研究当初の計画であるマイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析と、より定量性の高いreal-time RT-PCR法によるマイクロアレイ解析結果の検証を行ってきた。しかし必ずしもマイクロアレイ解析の再現性が高くなかったため、より定量性・再現性が高く統計処理が可能なRNA-seq解析法を用いた網羅的遺伝子発現解析を行うこととし、RNAの回収を試みてきたが、十分な量が得られなくなり、原因を追究していきた。一方、骨細胞がPTHに反応し分泌する因子を蛋白質レベルで網羅的に解析が可能な量の骨細胞培養上清も得られるようになったため、サイトカインに焦点を絞り、骨細胞培養上清について、308種類のサイトカインを網羅した抗体アレイを用い解析した。その結果、骨細胞がPTHに反応し産生を促進、または抑制するサイトカインを複数、蛋白質レベルで見出した。この結果とRNA-seq解析データと合わせることでパスウエイ解析の精度を高めることを目指し、RNAが十分得られるように培養系の再検討を行い、ある程度、回収効率が回復してきている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究の要である遺伝子発現の網羅的解析に必要な、培養骨細胞からのRNA回収がうまくいかなくなり、予定していたRNA-seqが行えていない。一方、代表者と研究分担者が所属する研究室の教授が2020年度末で定年退職したが、2021年度は定員が補充されず、本来4名で行っていた教育等の研究以外の業務を3人で行ってきた。元来、教授が行っていた講義も代表者が行う必要があり、また、コロナによる分散登校に伴うweb講義などの準備も重なり、十分な培養実験が行えず、RNA回収率が十分に向上できていない。RNA回収がうまくいけば、RNA-seq自体は委託する予定であり、またその後の解析は十分な実績がある古典的手法で可能であるが、現状、RNA-seq解析結果が得られていないため、「遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
培養骨細胞からのRNA回収が上手くいかなくなっている原因を早急に解明するため、骨細胞の培養条件の再検討を行い、早急にRNA-seq解析に必要なRNAを得られるようにしていく。一方、すでに分泌性のサイトカイン等を200余網羅した抗体アレイを用いた、骨細胞の培養上清中に含まれる分泌因子の解析結果を得ている。本来は、RNA-seq解析結果とこの抗体アレイの結果を合わせ、パスウエイ解析等を行い、本研究テーマのターゲットとなる骨代謝(骨芽細胞形成・破骨細胞形成)調節因子を絞り込む予定であるが、RNA-seq解析が進められない場合、交代アレイの結果からのみ絞り込みを行うこととする。この場合、抗体アレイの結果について文献等の検索を行い、これまでに骨代謝との関連が明らかにされていないが、骨代謝を調節する可能性がありそうな因子を絞り込み、その因子のPTHによる産生調節を確認し、その作用を検討してく。
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Causes of Carryover |
多くの支出を予定していたRNA-seq解析の委託が行えず、またその結果と以前に行った抗体アレイ解析結果をもとにした、パスウエイ解析の委託も行わなかった。そのため予定していた大きな支出がなく、今回の次年度使用額が生じた。今年度は、RNA-seq解析に必要なRNA回収を回復させ、RNA-seq解析委託及びパスウエイ解析委託を行う計画であり、そこに使用する。さらにこれらの解析結果が出た場合、当初の計画に従い骨代謝調節因子候補の同定を行い、実際の骨代謝調節作用を示していくことに使用する。
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