2019 Fiscal Year Research-status Report
Regeneration of attachment epithelium using artificial protein in the closed wound by adhesive resin
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19K10118
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
井上 孝 東京歯科大学, 歯学部, 特任教授 (20125008)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
國分 克寿 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (90535808)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 接着性レジン / 歯肉上皮 / RGDモチーフ / 付着上皮 / 口腔粘膜 / 再生 / 人工タンパク質 / エナメル質接着アプタマー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、硬組織のエナメル質と軟組織の口腔粘膜上皮の間に4METAレジンを用いて暫間的な閉鎖創を作製することを第一の目的とした。エナメル質との接着に関しては既に研究、商業開発済である。2019年度は、4METAレジンと上皮細胞がどの程度の質と量で接着するか、接着力を獲得できるかを検証した。まず0.2mmの厚さの4METAレジンを混和法によりSB板作製する(モノマー/キャタリスト/粉材=4;1;0.03)。付着歯肉および歯肉が付着している牛歯を用意する。作製したSB板と牛歯の歯肉部分を4METAレジンを用いて筆積み法により接着させる。ダンベ引張試験を行う(SB板の厚さと幅で換算:C.H.Smm/min)。放置環境は30分室温で放置した。また対照群はSB板のみとした。その結果、対照群では、9.0±2.1 Mpa(n=3)で、SB板と歯肉を接着した実験群では8.5±3.5 Mpa(n=6)で、SB板と歯肉の剥離が4例に見られた。SB板と歯肉の接着はある程度の強度で獲得することができることが示唆された。しかし、歯肉内に軟組織ハイブリッドがどの程度獲得されているかは来年度の課題となる。 本研究の第二の目的は、歯肉口腔粘膜上皮とエナメル質の間に付着上皮を再生させることである。この目的を達成するために、エナメル質に接着するアミノ酸配列を検索することが必要となる。2019年度に上皮細胞と特異的結合する細胞接着活性を持つ既知のRGD配列含有の歯肉上皮接合アプタマーを検索することを検討した。まず、すでに開発されているRGDモチーフが上皮とインテグリンを介して結合するか検討した。牛歯の上皮にRGDモチーフを含むアプタマーを塗布し、結合状態を検索することを計画した。現時点で実験は継続中である。また、前述のエナメル質に接着するアプタマーの検索研究までには、本年度の研究では達成に至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究を採択して頂いた2019年に東京歯科大学を退職し、研究継続のために特任教授として当大学に籍を置いた。同時に、東京医学技術専門学校副校長として赴任したため、研修本拠地の大学での準備(実験体制整備、機器購入、準備の会議など)に若干の時間がかかったが、共同研究者が当大学に勤務中であるので、連絡を取りながら、研究に取り組んだ。しかし、当初の予定を実行準備に時間がかかり、また、年度初頭からコロナ自粛にて自由な研究体制(分析、観察など)が維持できなくなった。しかし、上記のごとくある程度の研究実績を得ることができたが、当初目標には達していない。特に、エナメル質と粘膜上皮の結合モチーフを用いて人工タンパク質をつくるために、MolCraftを用いたファージディスプレイ法を実行するには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在でやや遅れている進捗を考えると、その分の補填研究を遂行しながら、本年度および次年度の計画を予定通り実行していく予定である。まず、粘膜上皮と4METAレジンが軟組織ハイブリッド層を作るか、については電子顕微鏡レベルでの検索を行う。次にエナメル質と粘膜上皮の結合モチーフを用いて人工タンパク質をつくるために、MolCraftを用いたファージディスプレイ法を実行する。さらに、生きた動物を用い、同様に軟組織ハイブリッド層ができるかを検証し、エナメル質粘膜上皮の結合モチーフが創製されれば、培養実験により検証する。その後は予定通りに実験を遂行する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、社会情勢の影響(特にコロナウイルス感染症)のため、研究施設使用条件に規制がかかり、使用薬剤を使うことができず、次年度に研究が遅延したためである。
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Research Products
(1 results)