2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K10127
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三木 康史 大阪大学, 歯学部附属病院, 助教 (10598395)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 正博 大阪大学, 歯学研究科, 准教授 (10243247)
柏木 陽一郎 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (20598396)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | CGRP / 歯根膜神経 / 歯根膜細胞 / 歯周組織再生 / RAMP-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では末梢感覚神経終末から分泌され、骨代謝に関与していると報告されている神経ペプチドであるCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)に焦点をあて、CGRPによる歯根膜細胞の硬組織形成細胞への分化とそれに伴う受容体の発現への影響について検討を行った。前年度に引き続き、MPDL22を石灰化誘導培地(β-glycelophosphate, ascorbic acid含有 10%FCS/α-MEM)のみ及びCGRP含有石灰化誘導培地にて培養し細胞分化誘導を行った。その結果、対照群と比較しCGRP刺激群において有意に骨関連遺伝子の発現が上昇する傾向がみられ、アリザリン染色にて濃染が確認された。また硬組織形成分化過程におけるCGRP受容体の特異的構成タンパクであるRAMP-1遺伝子の発現レベルの変化について検討を行った。その結果、RAMP-1遺伝子は、歯根膜細胞の硬組織形成細胞への分化の初期に発現上昇、ピークを迎え、その後分化が進むにつれて発現が減少していくことが明らかなった。以上の結果より、CGRPはin vitroにおいて歯根膜細胞の硬組織形成細胞への分化を促進する作用があるが、その作用は硬組織形成細胞への分化初期により発揮される可能性が示唆された。これは歯根膜における感覚神経由来のCGRPが歯周組織の恒常性維持、組織の治癒・再生に関与している可能性があることを示唆していると考えられる。またRAMP-1受容体遺伝子欠損マウスを入手し、ヘテロマウスからホモマウスが誕生し、研究に供することが可能な成獣に生育した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CGRPによる歯根膜細胞の硬組織形成細胞への分化促進の詳細な作用機序は不明だが、同細胞の分化過程における受容体の発現レベルの変化が影響している可能性を示すデータが得られたこと、また入手したRAMP1遺伝子欠損のヘテロマウスより、ホモのマウスが誕生し、順調に生育していることから、今年度にRAMP-1遺伝子欠損マウスの骨を中心としたフェノタイプの探索と、歯周組織の破壊、治癒、再生過程の挙動をWTと比較する実験の準備が整ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
RAMP1遺伝子欠損マウスを用いて、臼歯に絹糸結紮を行い、歯周組織の破壊、治癒、再生過程におけるCT像、組織切片を作成し、WTとの比較を行うことを中心に実験を進める。またCGRPによる歯根膜細胞の硬組織形成細胞への分化促進の作用機序についての検討を行う。
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Causes of Carryover |
今般のコロナウイルス感染症の流行による緊急事態宣言等により、研究活動の制限を余儀なくされる期間があったため。細胞培養のための試薬や、マウスの系統維持のための餌等の費用として使用する予定である。
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