2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K10127
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三木 康史 大阪大学, 歯学部附属病院, 助教 (10598395)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 正博 大阪大学, 歯学研究科, 准教授 (10243247)
柏木 陽一郎 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (20598396)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | CGRP / 歯根膜神経 / RAMP-1 / 神経ペプチド / 歯周組織再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯周組織の破壊・治癒過程におけるCGRPの発現動態を、マウス絹糸結紮歯周炎モデルを用いて検討した。すなわち、8週齢BALB/C 野生型マウスの上顎第二臼歯に5-0絹糸を結紮し、7日間飼育した後に絹糸の除去を行い、除去後さらに7日間飼育し、0, 3, 7, 10, 14日目に上顎骨のマイクロCT撮影および組織の採取を行った。得られた組織から脱灰・凍結切片を作製し、HE染色と、抗CGRP抗体による免疫染色を行い組織学的に解析した。その結果、マウス絹糸結紮歯周炎モデルにおいて、結紮3日目に急速な歯周組織破壊が誘導され、結紮部直下の歯根膜に顕著な炎症細胞浸潤および、CGRP陽性神経線維の消失を認めた。その後、結紮7日目には炎症部におけるCGRP陽性神経線維の顕著な増加・集積を認め、結紮10, 14日目にかけて、歯周組織の治癒・再生が進むとともに、増加していたCGRP陽性神経線維は減少し、ほぼ生理的な分布へ戻った。またCGRP受容体に特異的な構成タンパクであるRAMP1の遺伝子欠損マウスを用いて、マウス絹糸結紮歯周炎モデルで歯周組織の創傷治癒過程を検討したところ、野生型マウスと比較して歯槽骨の修復が遅延することが明らかとなった。 本研究結果は、歯根膜における神経が従来知られてきた末梢における感覚受容のみならず、歯周組織の恒常性維持や組織修復に重要な機能を果たしていることを示唆するものである。以上の結果およびCGRPがマウス歯根膜細胞の硬組織形成細胞への分化を促進するとの結果より、歯周組織の創傷治癒過程でCGRP発現の変動が、歯槽骨とセメント質の修復、再生に関与している可能性が示唆される。
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