2021 Fiscal Year Annual Research Report
低栄養時の炎症の遷延化,創傷治癒遅延のメカニズム解明:HMGB1機能不全の可能性
Project/Area Number |
19K10128
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Research Institution | Kobe Tokiwa Junior College |
Principal Investigator |
山城 圭介 神戸常盤大学短期大学部, 口腔保健学科, 教授 (30581087)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青柳 浩明 岡山大学, 歯学部, 客員研究員 (10814501)
宝田 剛志 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (30377428)
西堀 正洋 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 特命教授 (50135943)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 低栄養 / 炎症 / HMGB1 / マクロファージ / 創傷治癒 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,低栄養状態のモデルマウスにおいて,HMGB1の機能不全が生じた結果,炎症の遷延化や創傷治癒遅延が起こるのかを検証することである。 低栄養群ではコントロール群と比較して体重が約30%減少しており,血液検査の結果,総蛋白量,アルブミン値,グルコース量なども低栄養群ではコントロール 群と比較して有意に減少した。抜歯後の創傷治癒過程の比較検討の結果,抜歯後3日目では,コントロール群で血管新生が見られたのに対して,低栄養群では赤 血球などの血球細胞の浸潤が見られた。抜歯後7日目ではコントロール群で新生骨の形成が見られたのに対して,低栄養群では依然炎症細胞の浸潤が持続してい た。抜歯窩周囲組織を用いて定量PCR解析を行った結果,コントロール群と比較し低栄養群では,抜歯後3日目,7日目双方において 炎症性サイトカイン(IL-1β),幹細胞(CD44, Nanog),骨マーカー(Runx2)などの遺伝子発現量が有意に減少していた。フローサイトメトリー解析の結果, コントロール群と比較し低栄養群では,抜歯後3日目,7日目双方において,幹細胞の割合が有意に減少していた。IVISによる解析では,コントロール群では炎 症は3日目にピークを迎え7日目にはほぼ消失しているのに対し,低栄養群では3日目の炎症は軽度で7日目のほうが高かった。 炎症メディエーターHMGB1の発現および定量解析を免疫染色法およびELISA法を用いて行った。コントロール群では抜歯後7日目にはHMGB1の局在が核内に留まって いるのに対し,低栄養群では依然核外に移行したままであった。 抜歯窩に存在するM1,M2マクロファージの割合の変化を,フローサイトメトリーを用いて検証した。抜コントロール群と比較して低栄養群ではM1マクロファージ の割合が有意に低く,M2マクロファージの割合が有意に高かった。
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