2020 Fiscal Year Research-status Report
放射線う蝕の治療法の確立に向けたセルフエッチング接着システムの基礎的研究
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19K10149
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松崎 久美子 (田中久美子) 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (50550802)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉山 昌宏 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (10201071)
島田 康史 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (60282761)
松崎 秀信 岡山大学, 大学病院, 助教 (70325124)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 放射線性う蝕 / 象牙質脱灰抑制 / 知覚過敏抑制剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
頭頸部癌に対する放射線治療の晩期障害のひとつに、放射線う蝕が挙げられる。フッ化物塗布によるう蝕予防効果には限界があり、放射線う蝕は一度発症すると急速かつ多発的に進行する。そのため、応急的にう蝕進行抑制剤を塗布し、日を改めて接着システムを使用したコンポジットレジン修復を行うことが多い。 本研究の計画では、①う蝕進行抑制剤塗布後の象牙質における脱灰抑制効果の検証、②異なる保管環境における接着試料体の接着性の検討、③研究Ⅱの接着性の向上に関する研究、の大きく3つの骨子で成り立っている。 2020年度は、①う蝕進行抑制剤あるいは象牙質知覚過敏抑制剤塗布後の象牙質の脱灰抑制効果の検証を行った。市販の象牙質知覚過敏抑制材に、金属イオンを配合したものを試作し、象牙質の脱灰抑制効果を検討した。その結果、塩化ストロンチウムを配合した市販の象牙質知覚過敏抑制剤は、象牙質脱灰抑制効果を示した(2020年6月、日本歯科保存学会学術大会(Web大会)で発表)。また、亜鉛含有あるいはフッ素およびアルミニウム含有の、市販の象牙質知覚過敏抑制剤をう蝕進行抑制剤として使用可能であるかを検討するために、それらの知覚過敏抑制剤の象牙質脱灰抑制効果を、SS-OCTとSEMを用いて検証した。その結果、2種の知覚過敏抑制剤は、象牙細管に対して異なる作用機序を持って象牙質脱灰抑制効果を発揮することが示された(2021年3月投稿、2021年4月7日accepted 雑誌Materialsで論文発表)。また、臨床研究として、唾液とう蝕に関する疫学調査を2019年から継続して行い、2020年度には、学会発表を行った(2020年12月、日本がん口腔支持療法学会(オンライン)で発表)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定としていた「う蝕進行抑制剤塗布後の象牙質における脱灰抑制効果の検証」は、知覚過敏抑制剤のもつ象牙質脱灰抑制効果を応用し、検証できた。また、研究成果は、学会、論文を通して発表できた(論文のacceptは2021年4月7日)。今後は、将来的に臨床に応用することを想定し、処理面となる象牙質表面の検討、試料体の保管環境が及ぼす歯質への影響の検討、知覚過敏抑制剤塗布後の歯面に対する接着システムの接着性の検討を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画は①う蝕進行抑制剤塗布後の象牙質における脱灰抑制効果の検証、②異なる保管環境における接着試料体の接着性の検討、③研究Ⅱの接着性の向上に関する研究、であった。①の検証ができたため、予定通り、②③の研究を行う。
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Causes of Carryover |
当初は、東京医科歯科大学う蝕制御学分野内に設置されているSS-OCTを使用して、試料の検証を行う予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、東京への移動ができなかった。また、参加した学会はすべてオンラインであった。 今年度以降は、岡山大学医学部共同研究室内の機器を用いて検証を行うこととしたため、試料の処理、機器の使用に費用を充てることとした。
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Research Products
(6 results)