2019 Fiscal Year Research-status Report
柑橘類果皮含有生理活性物質を歯周炎治療に用いるための基礎的研究
Project/Area Number |
19K10151
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
細川 義隆 徳島大学, 病院, 講師 (90346601)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 正 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 准教授 (00217770)
細川 育子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (50707908)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 歯周炎 / スダチチン / MMP / Akt / 歯根膜由来細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯周炎は歯周病原性細菌により惹起される慢性炎症性疾患であり、過剰な炎症反応が歯周組織破壊に関与していることが明らかとなっている。また、歯周炎病変局所でのmatrix metalloproteinase (MMP)産生が歯周軟組織の破壊に積極的に関与していることも報告されており、歯周炎治療に用いることができる抗炎症物質の発見が熱望されている。スダチチンはスダチ果皮に含有される生理活性物質であり抗癌作用、抗菌作用、抗酸化作用など様々な生理活性作用があることが報告されている。しかしながら、スダチチンの生理活性作用に着目し歯周炎治療に用いようとする研究はほとんどない状態である。本研究ではスダチチンが持つ抗炎症作用に着目し、歯周組織構成細胞の一つであるヒト歯根膜由来細胞(HPDLC)が産生するMMP産生に及ぼす影響について検討を行った。 この研究により炎症性サイトカインの一つであるTNF-alpha刺激が誘導したHPDLCのMMP1およびMMP3産生はスダチチンにより濃度依存的に抑制されることが明らかとなった。また、スダチチンはTNF-alpha刺激が誘導したAktシグナル伝達経路の活性化を抑制し、さらにAkt阻害剤がTNF-alphaが誘導したMMP1およびMMP3産生を抑制することも明らかとした。ゆえに、スダチチンはTNF-alphaが活性化したAktシグナル伝達経路を抑制することによりHPDLCのMMP1およびMMP3産生を減少させる事が明らかとなった。 この結果よりスダチチンを歯周炎病変局所に投与することで歯周組織破壊に関与しているMMP産生が減少し、歯周炎の進行が抑制される可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々は歯周炎病変局所の過剰な免疫応答が歯周組織破壊に関与している事から新たな抗炎症物質を発見することが重要であると考え、柑橘類果皮含有生理活性物質に着目し検討を行った。その結果、柑橘類果皮含有生理活性物質の一つであるスダチ果皮に含まれるスダチチンが歯周組織構成細胞のヒト歯根膜由来細胞のMMP産生を抑制することを明らかとし、スダチチンを歯周炎治療に用いることができる抗炎症物質の候補としてあげることが出来た。この結果はすでにInflammation誌で発刊されている。1年目の研究で柑橘類果皮含有生理活性物質の一つであるスダチチンを抗炎症物質の一つとして特定できた事ならびにすでに国際誌でその研究内容を発表できている事より本研究課題は順調に進行していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目での研究で柑橘類果皮含有生理活性物質の一つであるスダチチンがヒト歯根膜由来細胞のMMP産生を抑制できることを明らかとした。2年目以降ではスダチチンが他の歯周組織構成細胞である歯肉上皮細胞や歯肉線維芽細胞でも同様な抗炎症作用を示すかどうかを確認する予定である。さらにスダチチン以外の柑橘類果皮含有成分であるノビレチンやタンジェレチンを用いて同様の実験を行う予定としている。
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Causes of Carryover |
当初、参加予定であった学会に参加できなかったこと、購入物品が大きくディスカウントされていた事、すでにストックしていた試薬があり購入の必要がなくなったことが次年度使用額が生じた要因だと考えられる。 次年度は積極的に学会に参加し実験結果を報告することにより旅費として研究費を使用する予定である。また、歯周組織構成細胞を多種類購入して研究に使用することで研究費を消費予定である。
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Research Products
(3 results)