2021 Fiscal Year Annual Research Report
炎症誘導性膵β細胞Xaf1の役割解明~歯周病―膵β細胞機能の連関
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19K10152
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩下 未咲 九州大学, 歯学研究院, 助教 (80611326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅野 知一郎 広島大学, 医系科学研究科(医), 教授 (70242063)
西村 英紀 九州大学, 歯学研究院, 教授 (80208222)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | XAF1 / 膵β細胞 / アポトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
我々の先行研究(Tsuruta M et al., Horm Metab Res, 2018)において、活性化マクロファージを介して膵臓のβ細胞におけるアポトーシス促進因子X-linked inhibitor of apoptosis-associated factor 1(XAF1)の発現が亢進することが見出された。本研究は、先行研究の結果をふまえて、膵β細胞におけるXAF1の発現が膵島機能および糖尿病の病態に及ぼす影響を明らかにすることを目的として遂行した。 本研究結果から、高脂肪食誘導性にマクロファージのインターフェロンβ産生が亢進することで膵β細胞におけるXAF1発現が増大することが示された。また、XAF1発現の増大に比例して、膵β細胞のアポトーシスが誘導され、結果的にインスリン分泌の減弱が引き起こされることが明らかになった。 肥満状態でのマクロファージの活性化を引き起こす軽微な炎症は、脂肪組織炎症を介したインスリン感受性を低下させることが以前から知られている。本研究ではそれに加えて、高脂肪食による活性化マクロファージ誘導性のXAF1発現の増大が膵β細胞のアポトーシス亢進を引き起こすこと、それによってβ細胞機能が低下し糖尿病の病態が増悪することが示された。 本研究結果は、高脂肪食誘導性の膵β細胞XAF1発現と糖尿病の病態の増悪との関連性を初めて示すものである。さらに、糖尿病の根本的治療の鍵である膵β細胞量減少のメカニズムの解明と、インスリン分泌能の低下しやすい日本人糖尿病患者に対する新たな治療戦略において有用な知見であるといえる。
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Research Products
(3 results)