2020 Fiscal Year Research-status Report
光合成の触媒系を象牙質接着強化に応用し歯根を保存するバイオミメティクス研究
Project/Area Number |
19K10153
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
平 曜輔 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (40226725)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
添野 光洋 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 客員研究員 (50315256)
鎌田 幸治 長崎大学, 病院(歯学系), 講師 (60264256)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 接着 / 象牙質 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯の破折は歯周病と齲蝕についで3番目に多い永久歯抜歯の原因であるため、破折歯を抜歯しないですむ予知性の高い治療法の確立は極めて重要である。しかし現状では、破折した歯根を既存の接着システムで接合しても必ずしも良好な臨床的結果が得られるとは限らない。したがって破折歯を接着し長期間機能させるためには、象牙質に対するレジン系材料の接着性改善が欠かせない。そこで本研究では、光感受性物質や電子伝達体を象牙質の表面処理に利用することによって接着界面付近のラジカル重合を促進するという仮説のもとに、接着強度の向上を図ることを主目標としている。本年度は、水溶性フェオフォーバイドa、2-ヒドロキシエチルメタクリレート (HEMA)、水から成るプライマーを試作した。象牙質表面をリン酸水溶液あるいはクエン酸と塩化第二鉄の水溶液(10-3液)でエッチング処理した後、本プライマーを塗布し、4-メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸無水物 (4-META)、メタクリル酸メチル (MMA)、トリブチルボラン (TBB)から成る接着性レジンを用いてアクリルブロックと接着した。接着してから48時間経過後の微小引張り接着強さを調べた結果、リン酸水溶液でエッチング処理した場合は2 MPa以下であった。また、10-3液と上記プライマーを用いた場合は平均21.1 MPa、10-3液のみの場合は平均26.4 MPaであり両者に有意差は認められなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光感受性物質や電子伝達体を象牙質の表面処理に利用することによって接着強度の改善を図り、さらにその接着メカニズムを明らかにするといった当初の目的と仮説に従って実験を行った結果、次年度の研究につながる知見が得られるとともに、さらなる研究の必要性が示唆されたから。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画調書に記載した研究方法にしたがって、接着強さ試験、顕微鏡観察、重合時間測定等を行う。必要な場合は、本研究の目的を逸脱しないよう配慮しつつ、確実に行える評価を優先的に行うなど実験方法を適宜修正して、より高度な研究成果が得られるように今後の研究を推進する。
|
Causes of Carryover |
(理由) 物品の値引きによって、次年度以降使用可能な金額が生じた。また、新型コロナ感染症の影響により出張の旅費が必要なかった。 (使用計画) 当該研究の実施に必要な物品の購入、必要な情報収集や学会発表のための旅費、その他論文作成のための諸経費等に使用する計画である。
|