2023 Fiscal Year Research-status Report
光合成の触媒系を象牙質接着強化に応用し歯根を保存するバイオミメティクス研究
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19K10153
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
平 曜輔 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (40226725)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
添野 光洋 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 客員研究員 (50315256)
鎌田 幸治 長崎大学, 病院(歯学系), 講師 (60264256)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 接着 / 歯質 |
Outline of Annual Research Achievements |
破折した歯を接着し口腔内で再び機能させるためには、象牙質に対するレジン系材料の強力な接着が欠かせない。そこで本研究では、光合成の触媒系を発想の源として、光感受性物質やその誘導体を象牙質の表面処理に利用することによって接着界面付近のラジカル重合を促進するという仮説のもとに、接着強度の向上を図ることを主目的としている。実験ではヒト抜去歯を被着体として使用し、表面処理剤の成分や接着材を変えて微小引張り接着強度試験を行なった。リン酸エッチング処理した後に象牙質に塗布するプライマー成分として複数のクロロフィル誘導体を試した結果、銅クロロフィリンナトリウムと鉄クロロフィリンナトリウムが接着強度向上に有効で、特に前者は後者よりも効果が高く、至適濃度が低いことがわかった。象牙質の前処理なし、あるいはリン酸エッチング処理のみ行なった場合は、接着した試料から微小引張り接着強度試験用の試験片を切り出す段階で剥離するほど接着が弱かった。これに対してリン酸エッチング処理した後、微量の銅クロロフィリンナトリウムを2-ヒドロキシエチルメタクリレートと水から成る溶媒に溶解したプライマーを塗布すると、トリブチルボラン系の化学重合型と光化学デュアルキュア型いずれの接着材を用いても、既存の表面処理剤を適用した場合に比べて著しく高い接着強度を示し、また破断面の観察の結果、接着界面の結合が強化されていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
試作した象牙質用表面処理剤の接着改善効果を評価した結果一定の知見は得られたものの、新型コロナウイルス感染症等の影響によって一定期間中断していた実験を再開し、研究成果をまとめるには、追加のデータ収集が必要であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に基づいて象牙質の前処理剤を試作し、その効果を接着強度試験、電子顕微鏡観察、重合時間測定等によって評価する。また必要に応じて確実に行える評価法を優先的に行うなど、実験方法を適宜修正して、より高度な研究成果が得られるように今後の研究を推進する。
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Causes of Carryover |
(理由) 新型コロナ感染症の影響により実験に必要な物品の購入や実験機器の整備が減り、また出張のための旅費が不要となった。 (使用計画) 当該研究の実施に必要な物品の購入、その他論文作成のための諸経費等に使用する計画である。
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