2021 Fiscal Year Research-status Report
Effect of HMGB1 on bone resorption induced by traumatic occlusion
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19K10154
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
鵜飼 孝 長崎大学, 病院(歯学系), 教授 (20295091)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 篤利 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (70253680)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 破骨細胞 / 破骨細胞前駆細胞 / 頭蓋骨 / HMGB1 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は外傷性咬合による骨吸収への静止期破骨細胞前駆細胞や RANKL 刺激を受けた破骨細胞前駆細胞から破骨細胞への分化に対する High Mobility Group Box1(HMGB1)の影響を検討することであった。 そこでまずマウス臼歯咬合面にワイヤーを装着して歯に外傷力を付与した後の分岐部の骨吸収状態を確認したところ、これまでの報告のように骨破壊を引き起こせることが確認できた。 次に、歯肉への lipopolysaccharide(LPS) の影響が根分岐部に及ぶことを確認するために、臼歯頬側歯肉に LPS を注入して根分岐部の炎症の波及を検討する予定であった。以前はラットにて同手技を確立していたが、マウスでこれをうまく確立できなかった。そこで頬側歯肉ではなく、以前に我々がマウスを用いた他の研究で行ったように第一臼歯近心にLPSを頻回注入することで根分岐部に炎症を波及させることを試みた。炎症は惹起できたがまだ十分ではなかった。頭蓋骨の縫合部分にも破骨細胞が出現しており、静止期破骨細胞前駆細胞が存在していると考えられるので、一部予定を変更してマウス頭蓋にLPSを注入した際のRANKL 刺激を受けた破骨細胞前駆細胞から破骨細胞への分化に対するHMGB1の影響を検討することとした。 マウス頭蓋にLPSを注入することで、破骨細胞の出現が増加することを確認でした。休止期破骨細胞前駆細胞のLPSによる骨吸収への関与を検討するためテリパラチド(PTH製剤)を全身投与した際の影響を検討した。組織学的ならびにマイクロCTにより骨破壊の状態を確認したところ、テリパラチドを投与するタイミングにより骨吸収への影響(促進と抑制)が異なることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の予定通りLPS注入により安定して十分に根分岐部に炎症を惹起することができなかったので、根分岐部への炎症波及モデルの確立を進めると共に炎症惹起部位を頭蓋骨に変更してRANKL 刺激を受けた破骨細胞前駆細胞から破骨細胞への分化に対するHMGB1の影響の検討を進めている。頭蓋へのLPS注入による骨破壊を病理組織学的に経時的に検討した結果、炎症の拡大と破骨細胞の増加が認められた。また組織学的な検討ばかりでなく、マイクロCTを用いての骨破壊の検討も行うこととした。そのためマイクロCT撮影や解析方法の習得に時間を要した。 現在、4年目の大学院生を指導しながら一緒に研究を行っている。その大学院生の精神ならびに体調不良があり、一時期研究の中断時期もあったが、現在は体調を確認しながら無理させないようにしながら研究を実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス頭蓋組織へのLPS注入による骨吸収モデルを用いて研究を進める。現在、テリパラチド投与時期によりLPS誘導性の骨吸収の増減が認められている。テリパラチド投与時RANKL刺激を受けた破骨細胞前駆細胞の一種と考えられるTRAP陽性単核細胞の出現を組織学的に調べ、それら細胞の存在とテリパラチド投与による破骨細胞出現との関連を検討する。これにより骨吸収における破骨細胞前駆細胞の状態の重要性を検討する。さらに、テリパラチドの代わりにHMGB1を投与することでその影響を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
一緒に研究していた大学院生の研究の中断があり、予定通り研究が進まず、予定していたマウス、テリパラチド、試薬等の購入を見送ったため、次年度使用額が生じた。 次年度も引き続き動物実験が必要であり、マウス購入や飼育費、テリパラチドさらにはHMGB1免疫染色に必要な試薬を購入予定である。
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Research Products
(1 results)