2019 Fiscal Year Research-status Report
生物学的活性を有する高含水性ゲル状直接覆髄薬・象牙質-歯髄複合体再生誘導剤の創製
Project/Area Number |
19K10156
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
諸冨 孝彦 九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (10347677)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 象牙質ー歯髄複合体 / 再生療法 / bioactive glass / 覆髄 / 硬組織形成 / heat shock protein |
Outline of Annual Research Achievements |
1)ヒアルロン酸高含水性ゲルについての解析 ヒアルロン酸(HA)高含水性ゲルの最適な条件の本格的な解析を始動する。初めは最適なゲルの粘度条件を確認する。ゲルの粘度は細胞の分化誘導の重要な因子であることが知られており、歯髄細胞の増殖及び分化に適し、かつ操作性に優れた粘弾性を有するHA高含水性ゲルについて検討する。水分の含有率を細かく調整して多種類のゲルを作成し、in vitroにおいて歯髄細胞の増殖や分化に最適な条件を検索する。続いて、ラット臼歯断髄モデルによるin vivo研究により、in vitroで得られた条件が、実際に歯髄腔における歯髄細胞の増殖や血管の伸長を誘導するに適するか確認する。 2)生物学的活性付加のための各種混合物の条件検索 上記研究により同定した最適な条件を有するHA高含水性ゲルに耐性誘導能、抗炎症作用、細胞増殖能および分化誘導能等を有する各種製剤、生理活性因子、BG粒子等をそれぞれ濃度や粒径等を変え混合し、各細胞を用いた三次元培養法を行うことで各機能を発揮させるための条件について検索する。これらの条件が確認された後、in vivo研究としてマウスまたはラットを用いた皮下埋入試験により、生体内における生体親和性の確認を行う。続いてラット覆髄モデルおよび断髄モデルを用いて覆髄、断髄時の刺激への耐性誘導および抗炎症作用、細胞増殖誘導能、象牙芽細胞様細胞への分化誘導能および象牙質様硬組織形成誘導能がそれぞれ発揮され、さらに操作性に優れる条件を検索する。 3)連続的機能発現効果の確認 歯髄腔での覆髄および象牙質-歯髄複合体再生を促すためには、上記の各効果が個別にではなく、徐々に段階的に発揮されることが必須となる。そのため、各添加薬剤・材料が適切な順で効果を発揮できるように段階的な溶解性を与えるための各添加物の量や濃度、粒径等を調整し、in vivo研究で確認する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は象牙質-歯髄複合体再生療法を施術する上で初期の段階である覆髄・断髄による刺激から残存歯髄組織の壊死を防ぐための方略と、逆に最終段階となる歯髄細胞の象牙芽細胞様細胞への分化および象牙質様硬組織の形成誘導法について、それぞれ検討を行った。 歯髄組織保護のための刺激耐性誘導法に関しては、歯髄由来細胞において耐性能の獲得にはHSP-70の蓄積が重要であり、また一度細胞内に蓄積されたHSP-70は他のHSPsの消失後にも残存し、細胞保護の機能を果たすことが確認された。このことから、施術時にはHSP-70誘導剤の適応が有用な上、最適な投与方法や、投与時期について検討することが可能となった。 一方、象牙質様硬組織の形成誘導法については、使用材料の候補となるBioactive glass粒子を配合した粉末材料を新たに開発し、その諸性質および有用性についてin vitroおよびin vivoの両方面から詳細に検討した。その結果、この新規材料は既存のBG配合セメントに添加することにより生体親和性を減じることなく、覆髄材として適切な操作性や物理化学的および生物学的特性を発揮することが確認され、既存の水酸化カルシウム製剤はもとより良好な性質が多数報告されているMineral trioxide aggregate (MTA)を上回る覆髄材としての可能性が示された。また、粉末材料であることからヒアルロン酸高含水性ゲルに混入することも可能であり、その有用性が確認された。 以上の結果より、本年度の研究遂行により象牙質-歯髄複合体再生療法を実現するための新たな知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1)ヒアルロン酸高含水性ゲルについての解析 ヒアルロン酸(HA)高含水性ゲルの最適な条件の本格的な解析を始動する。初めは最適なゲルの粘度条件を確認する。ゲルの粘度は細胞の分化誘導の重要な因子であることが知られており、歯髄細胞の増殖及び分化に適し、かつ操作性に優れた粘弾性を有するHA高含水性ゲルについて検討する。水分の含有率を細かく調整して多種類のゲルを作成し、in vitroにおいて歯髄細胞の増殖や分化に最適な条件を検索する。続いて、ラット臼歯断髄モデルによるin vivo研究により、in vitroで得られた条件が、実際に歯髄腔における歯髄細胞の増殖や血管の伸長を誘導するに適するか確認する。 2)生物学的活性付加のための各種混合物の条件検索 上記研究により同定した最適な条件を有するHA高含水性ゲルに耐性誘導能、抗炎症作用、細胞増殖能および分化誘導能等を有する各種製剤、生理活性因子、BG粒子等をそれぞれ濃度や粒径等を変え混合し、各細胞を用いた三次元培養法を行うことで各機能を発揮させるための条件について検索する。これらの条件が確認された後、in vivo研究としてマウスまたはラットを用いた皮下埋入試験により、生体内における生体親和性の確認を行う。続いてラット覆髄モデルおよび断髄モデルを用いて覆髄、断髄時の刺激への耐性誘導および抗炎症作用、細胞増殖誘導能、象牙芽細胞様細胞への分化誘導能および象牙質様硬組織形成誘導能がそれぞれ発揮され、さらに操作性に優れる条件を検索する。 3)連続的機能発現効果の確認 歯髄腔での覆髄および象牙質-歯髄複合体再生を促すためには、上記の各効果が個別にではなく、徐々に段階的に発揮されることが必須となる。そのため、各添加薬剤・材料が適切な順で効果を発揮できるように段階的な溶解性を与えるための各添加物の量や濃度、粒径等を調整し、in vivo研究で確認する。
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Causes of Carryover |
当該年度は研究計画を変更し、Bioactive Glass粒子含有セメントおよび熱ショックタンパク等の、以前にストックされていた資源を用いる研究が主となったこと、また1月からのCOVID-19パンデミックの影響により予定していた国際学会への参加や動物実験が中止となったため、予定を下回る支出となった。 次年度においては、既に発表予定だった2つの学会は中止が決定しており、他の学術大会への影響も見通せないが、本年度に計画していたヒアルロン酸高含水性ゲルの条件検索等を実施し、また延期していた動物実験も再開するため、次年度に使用する。
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Research Products
(17 results)
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[Journal Article] Concordance study between regular face-to-face dental diagnosis and dental telediagnosis using fluorescence2020
Author(s)
Inquimbert C, Hirata-Tsuchiya S, Yoshii S, Molinari N, Nogue E, Roy C, Morotomi T, Washio A, Cuisinier F, Tassery H, Levallois B, Kitamura C, Giraudeau N
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Journal Title
Journal of Telemedicine and Telecare
Volume: 00
Pages: 00
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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