2020 Fiscal Year Research-status Report
Study on tooth micro crack using biomechnical fatigue bending strength test
Project/Area Number |
19K10158
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
高見澤 俊樹 日本大学, 歯学部, 准教授 (60373007)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | エナメル質 / マイクロクラック / 衝突摩耗 |
Outline of Annual Research Achievements |
エナメル質に生じたマイクロクラックは,tooth wearの起点としてその進行に関与し,歯の破折,象牙質知覚過敏症,齲蝕あるいは審美障害を惹き起こすものと考えられている。しかし,マイクロクラック進展のメカニズムについての詳細は不明な点が多い。そこで,エナメル質マイクロクラックモデルの構築とともに,このモデルを利用したマイクロクラック進展機序の解明からマイクロクラック進行抑制材あるいは簡易で効果的な予防法の確立を目指すことを目的とした。 申請者は,咬合を原因とするマイクロクラックの発生機序を解明するために,衝突摩耗試験機を応用したモデルを構築するとともにマイクロクラックの発生が咬合状態とどのように関連しているかを検討した。すなわち,アンタゴニストしてジルコニアスタイラスを用いて,牛歯エナメル質試片に対して摩耗試験機の荷重負荷および回数とともに負荷条件(タッピング,グライディング)を変更して,エナメル質に生じた変化を摩耗量の測定および亀裂進展状態から観察した。その結果,ファセットの出現は,衝突摩耗5000回で出現し,タッピングパターンの摩耗量はグラインディングパターンのものと比較して有意に高い摩耗量を示した。 また,SEM観察からファセットの中央部に比較して辺縁部でマイクロクラックが多数観察された。マイクロクラックは,初期の段階で生じるとともに,その進展はタッピングとグライディングパターンによって異なることが判明した。また,エナメル質の損失に関してはマイクロクラックの周囲への進展が関与していることが考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請者は,3点曲げ試験に着想を得るとともに口腔内環境を模した繰返し荷重を負荷する疲労試験を応用することで,再現性を有しつつ定量化が可能なエナメル質マイクロクラックモデルを新たなモダリティによって確立するとともにマイクロクラックの進展メカニズムを解明する計画を立案した。 まず,牛歯を用いてエナメル質と象牙質が1mm 厚径となるように調整した試片を10 mm×2 mm×2 mmの棒状に成型して,3点曲げ試験片を製作し,試片の曲げ強さを求めるとともに曲げ強さの50%,25%および10%の加重を同じように調整した試片に負荷した後,レーザー顕微鏡観察からエナメル質に生じたマイクロクラックの進展を観察しすることでマイクロクラックの進展と荷重負荷の関係性を検討した。その結果,加重10%から25%の加重によって生じたマイクロクラックは,エナメル質内に留まっていることを確認した。得られた結果を基に,マイクロクラック進展の解析および繰り返し荷重応力の影響を検討するために疲労試験を共同研究機関であるクレイトン大学(米国,ネブラスカ州)で行う予定であったものの,新型コロナウイルスの蔓延に伴い,渡米ができなかったことから,実験計画を上記の内容に変更したため,当初の計画より遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの蔓延によって渡米は困難であるところから,当初の計画を一部変更して疲労試験によるクラック進展モデルから衝突摩耗試験によって製作したクラックモデルに変更した。 このモデルを使用してバイオアクティブ材料のクラック進展抑制効果を検討することを今後の研究目的とした。すなわち,近年バイオアクティブ材料として注目されている亜鉛含有グラスアイオノマーセメントのクラック抑制効果を検討するととも亜鉛の含有量を変更することで亜鉛とクラック進展抑制効果の関係性ににエビデンスを与えることを目的に今後の研究を推進する予定である。
|
Causes of Carryover |
研究計画どおり経費を使用したところ、端数が生じた。 そのため,令和3年度は繰越金と助成金を合わせて,計画通りに衝突摩耗試験の経費および消耗品の購入に使用する。
|
Research Products
(3 results)