2019 Fiscal Year Research-status Report
3Dプリント吸収性トレーと培養骨膜細胞により顎骨の形態を忠実に再建する
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19K10165
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
永田 昌毅 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (10242439)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川瀬 知之 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (90191999)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 培養骨膜細胞 / 培養系樹立 / 特性解析系の樹立 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)本年度はラットを実験動物として使用して、使用する培養骨膜細胞の樹立を行った。最適な骨膜細胞の採取場所をおよび培養方法を検討した。【細胞採取部位】脛骨および下顎骨および頭頂骨の骨膜を採取し、その可能性を比較した。【培養方法】M199+10%FBSを使用した。培養法は①酵素による分散による培養、②骨膜組織片からの遊走による培養を比較した。結果としていずれの方法によっても培養細胞の製造が可能だった。その結果を踏まえて、手技の簡潔さと現在臨床で提供している培養骨膜細胞の製造に最も近い方法として、頭蓋骨骨膜の組織小片からの遊走による培養法を実験に使用することを決定した。 2)培養細胞の特性解析の方法を確立した。①培養骨膜細胞の骨細胞マーカーの定量PCR法による発現解析系を樹立した。対象分子はRANKL、ALP、COL1a1、Osterix、Osteocalcin、BMP2、RUNX2、Osteopontinとした。②フローサイトメトリーによる幹細胞マーカー発現解析。CD45、CD90.1、CD29、CD44H、他4分子を対象とする系を作成した。 3)ラット骨欠損モデルの確立を行った。①頭頂骨欠損モデル、②下顎枝部骨欠損モデルを比較した。その結果、当面の移植材の骨形成能を分析する方法としては、動物に対する負荷が軽く、術式が容易で安定した結果が得られる頭頂骨欠損モデルが適すると考えた。 4)当初メーカーから供給を受ける予定をしていた細胞親和性リコンビナントRGDペプチド顆粒(セルネスト:富士フィルム)の供給が受けられない状態が続いたため、交渉を継続し、本研究課題に関しては個別の製造おより提供を受けることが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は実験系の確立に多くの時間を用いた結果、培養細胞の製造についての基本的は技術を樹立することができた。合わせてラットの実験系は当面は頭頂骨を中心にアプローチする方法をとるが、麻酔方法および骨欠損の形成、術後の飼育に関する対処法を樹立して、安定した動物の生存率をうることができている。 同時に移植材については比較検討をすすめ、非市販品である細胞親和性リコンビナントRGDペプチド顆粒(セルネスト:富士フィルム)についても、企業側との秘密保持契約の締結および材料の提供にかかる準備を完了することができた。おおむね半年程度の移植開始に後れを生じたものの、細胞系の確立を完了することができた。 これらをもとにして2020年度からは3Dプリント-αTCPトレー:製造委託〔㈱ネクスト21〕の始動とともに、骨欠損モデルへの適用を開始し、その骨形成効果を検証する段階に進むことが可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
【培養骨膜細胞の特性解析】。①培養骨膜細胞の骨細胞マーカーの定量PCR法による発現解析および②フローサイトメトリーによる幹細胞マーカー発現解析を実施し、培養骨膜細胞の性質を解析する。 【ラット移植実験】本課題で使用を予定している細胞親和性リコンビナントRGDペプチド顆粒がメーカーの開発方針変更によって、入手ができない状態が続いていたが、秘密保持契約の締結がおおむね完了し、本年度から供給を受けることが可能になる。それによって、本年度からは培養骨膜細胞と細胞親和性リコンビナントRGDペプチド顆粒あるいは対照としての炭酸アパタイト顆粒を合わせた移植材の構成を準備して、頭蓋骨欠損への移植、3Dプリント吸収性トレーを用いた背部皮下への移植を開始する。 【移植による組織反応および骨形成状態の解析】①移植に用いる細胞親和性リコンビナントRGDペプチドによる周囲組織の反応および骨形成の様相を検証する。また②移植した3Dプリント-αTCP吸収性再建トレー周囲に起こる組織反応を解析する。③使用する移植材については骨形成の様相について細胞親和性リコンビナントRGDペプチドと炭酸アパタイト顆粒による骨形成効率について比較する。
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Causes of Carryover |
当初予定した研究内容について、手術機材の設定において、比較的大きな機材の購入を必要としたこと、および材料を提供する企業との打ち合わせにおいて、予定外の出張旅費が必要となったことが主な理由と考えている。
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