2020 Fiscal Year Research-status Report
蛍光標識した歯根膜幹細胞による骨芽細胞分化誘導法の確立
Project/Area Number |
19K10171
|
Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
細矢 明宏 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (70350824)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
建部 廣明 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (40638293)
吉羽 邦彦 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30220718)
入江 一元 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (70223352)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | Gli1 / 歯根膜幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯根膜幹細胞を効率的に骨芽細胞へ分化誘導し、歯周組織再生を促す治療法の開発が必要とされている。我々はこれまで、GFPラット歯根膜を用いた細胞系譜解析から、歯根膜に骨芽細胞へ分化する細胞ならびに幹細胞特性を有する細胞が存在することを報告した。しかし、歯根膜に存在する幹細胞は僅かであると考えられ、単離が難しいことから、歯根膜幹細胞の歯周組織再生療法への応用はほとんど検討されてこなかった。 近年、歯の発生過程において、歯小嚢のGli1陽性細胞が歯根膜を構成する多種類の細胞へ分化することが示された。そこで本研究では、Gli1を歯根膜幹細胞のマーカー遺伝子と位置づけ、細胞系譜解析を可能とするGli1-CreERT2/ROSA26-loxP-stop-loxP-tdTomato(iGli1/Tomato)マウスを作出して、Gli1陽性細胞の分化を検討している。iGli1/Tomatoマウス歯根膜におけるGli1/Tomato陽性細胞は、Endomucin陽性の血管周囲に散在性に認められた。このGli1/Tomato陽性細胞は、4週齢マウスでは増殖し骨芽細胞へ分化したが、8週齢マウスになると増殖能を示さなかった。そこで、8週齢iGli1/Tomatoマウス歯根膜からGli1/Tomato陽性細胞を分取したところ、この細胞はin vitroで自己複製能と多分化能を示した。また、iGli1/Tomatoマウスの上顎第一臼歯を抜歯し、野生型マウスの皮下へ移植する実験を行い、Gli1/Tomato陽性細胞が移植後に骨芽細胞へ分化することを明らかにした。従って、Gli1陽性歯根膜細胞は幹細胞特性を有し、歯周組織再生時に骨芽細胞へ分化することが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
iGli1/Tomatoマウスを作出し、Gli1が完成歯の歯根膜における幹細胞マーカーに成り得ることを示した。さらに、Gli1陽性歯根膜細胞は歯周組織再生時に骨芽細胞へ分化することを明らかにした。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はメカニカルストレスがGli1陽性歯根膜細胞の分化に与える影響を観察し、どのような因子が骨芽細胞分化を促進的に調節するかを検討する。そのため、iGli1/Tomatoマウスの切歯および第一臼歯間にコイルばねを装着し、第一臼歯を近心方向へ移動させた時のGli1陽性細胞の動態ならびに発現因子を検索する。また、iGli1/Tomatoマウスの第一臼歯を抜歯し、咬合圧がかからない状態の歯根膜におけるGli1陽性細胞の分化についても検討する。
|
Causes of Carryover |
今年度に行ったGli1陽性および陰性細胞を石灰化誘導させた際の遺伝子発現の比較で、WntおよびBMPシグナル伝達系の数種の因子に大きな差があることが明らかになった。そこでこれら因子に対するGli1/Tomato陽性細胞の局在を検討するため、次年度の予算と合わせて抗体の購入に使用することとした。
|
Research Products
(14 results)