2019 Fiscal Year Research-status Report
Bone and tooth differentiation induced by BMP and rapamycin
Project/Area Number |
19K10177
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
大井田 新一郎 鶴見大学, 名誉教授, 名誉教授 (10114745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺島 達夫 鶴見大学, 歯学部, 非常勤講師 (20114770)
山本 竜司 鶴見大学, 歯学部, 講師 (20410053)
唐木田 丈夫 鶴見大学, 歯学部, 講師 (40367305)
千葉 理紗子 鶴見大学, 歯学部, 学部助手 (50804887)
斉藤 まり 鶴見大学, 歯学部, 助教 (60739332)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ラパマイシン / BMP / 硬組織再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
硬組織再生を目的に、歯の象牙質形成と骨形成へのBMPとラパマイシンの作用を調べた。その結果、研究費申請時の予備実験での結果を確認するとともに、さらにいくつかの追加データを得た。当該年度では主に象牙質形成についての実験を集中的に行い、骨形成の研究は予備実験と次の実験準備を行った。 象牙質形成に関する研究では、ブタ歯髄由来の象牙芽細胞様株細胞(PPU-7)を3次元培養すると、球形の細胞塊を形成し中心部は石灰化した。この細胞塊の大きさはBMPで促進し、ラパマイシンで抑制されたが、石灰化はラパマイシンで促進した。脱灰標本では、細胞に囲まれた中心部には有機質と思われる物質が存在するが、細胞成分は認められなかった。マウスの歯胚の器官培養でもラパマイシンは象牙質の形成を抑制し、通常よりも小さな歯胚が形成された。この器官培養系でもラパマイシンは歯胚の成長を抑制するが、石灰化は促進する傾向が認められた。以上の研究から、ラパマイシンとBMPの象牙質形成への作用についてまとまったデータが得られたため今後学会発表、論文投稿を通じて結果を公表する予定である。 骨形成に関する研究では、マウス筋由来の骨芽細胞系株細胞(C2C12)へのBMPとラパマイシンの効果を検討するための実験を行った。その結果 それぞれ単独でもアルカリホスファターゼ(ALP)活性の上昇と石灰化の促進が認められるが、両者を同時に加えると相乗効果でどちらも著しく促進された。以上の結果をさらに詳細に検討するため、シグナル伝達経路を解析するため実験を計画し、実験試薬を発注した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度中に、象牙質形成に関する研究では、以下に示すようにほぼ予想どおりの結果を得ることができ、骨形成に関する研究は次の実験の準備が整い、研究は計画通りおおむね順調に進展している。 ブタ歯髄由来の象牙芽細胞様株細胞(PPU-7)を3次元培養すると、球形の細胞塊を形成し中心部は石灰化した。この細胞塊の大きさは骨形成タンパク質(BMP)で促進し、ラパマイシンで抑制されたが、石灰化はラパマイシンで促進した。脱灰標本では、細胞に囲まれた中心部には有機質と思われる物質が存在するが、細胞成分は認められなかった。マウスの歯胚の器官培養でもラパマイシンは象牙質の形成を抑制し、通常よりも小さな歯胚が形成された。以上の結果からBMPは象牙質の成長を促進し、ラパマイシンは成長を抑制するが、石灰化は促進することが明らかとなった。 マウス筋由来の骨芽細胞系株細胞(C2C12)にBMPとラパマイシンを加えると、それぞれ単独でもアルカリホスファターゼ(ALP)活性の上昇と石灰化の促進が認められるが、両者を同時に加えると相乗効果でどちらも著しく促進された。
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Strategy for Future Research Activity |
象牙質形成へのラパマイシンの作用についてはある程度まとまった結果が得られたので、次年度中に学会発表し論文にまとめたいと考えている。さらに、計画通り、酵素抗体法やインサイチューハイブリダイゼーションを用いた形態学的研究を進めラパマイシンとBMPの詳細な作用を検討したい。 骨芽細胞についての研究では、BMPやラパマイシンが関与するシグナル伝達経路への促進薬、阻害薬の準備がほぼできたので、次年度はこれらを用いて骨芽細胞への分化の詳細な研究を進めたいと考えている。
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Causes of Carryover |
発注試薬の一部が生産中止で、当該年度中に納入されなかったため次年度使用額が発生した。この分については類似の試薬を検討し、次年度中に発注する予定である。
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