2020 Fiscal Year Research-status Report
顎口腔組織幹細胞を用いたオルガノイド試験管内再構築法確立のための革新的基礎研究
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19K10183
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
阿部 成宏 日本大学, 医学部, 助教 (00510364)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 幹細胞 / 顎口腔組織 / 歯髄幹細胞 / 歯根膜幹細胞 / 口腔粘膜幹細胞 / オルガノイド / 分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
再生医療に用いる幹細胞は、簡単に大量の細胞を単離することが重要である。われわれは神経幹細胞の単離・維持培養法として用いられているニューロスフェアー分離法(無血清培地下に成長因子を添加した培地で浮遊培養を行い、スフェロイド形成をする培養法)を用いて同一患者、同一時期、同一部位のApical papilla、Periodontal ligament、Oral mucosaの組織を29側より採取し、その中から幹細胞集団を単離し、性状解析を行い各組織由来の幹細胞集団の特徴づけを行うことに成功した。そのような中で、これらの細胞集団を複数組み合わせることで、より複雑な再生組織が可能であるかといった疑問を抱いた。しかしながら、スフェアーから歯を構成する組織へ再生させる場合は、その大きさが非常に小さく細胞の足場となるスキャホールドが必要となる。また、スキャホールドはそれ自体に再生組織の形が制御されてしまう。そこで、オルガノイド培養という技術が飛躍的に進歩したことに注目した。これらの技術を用いることでスキャホールドフリーで器官発生が可能となっている。それらを応用し、歯の発生プロセスを模倣できないかと考えた。本年度の研究では、スフェアー分離法にて単離されたそれぞれの組織由来幹細胞においてオルガノイド培養ができるか否かに関して検討した。様々な培養液ならびに条件の検討の結果、脳のオルガノイド培養法にいくつかの増殖因子を追加した培地を用いてゲルドーム法により、オルガノイド様の細胞集団を培養することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までに、Apical papilla、Periodontal ligamentおよびOral mucosa由来の多能性細胞の細胞特性の違いを完全に同定することに成功した。各細胞集団からオルガノイド作製を可能にするプロトコルを確立することに成功した。歯の発生を模倣するため、歯嚢組織から歯原性上皮細胞を単離することにも成功したものの、3継代程度であるが継代によってEMTが生じてしまい、線維芽細胞様細胞の出現を認めてしまった。さらに、これらの細胞をを再構築する際に歯原性上皮細胞がうまく同一のプロトコルでは、組織化がなされなかった。いまだに、このハードルを越えることができていない。また、NOD/SCIDマウスの頭蓋骨に骨欠損を作製し、in vivo組織再生実験を試みたが、コントロール群でも実験後12週では完全に骨再生されてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、いかに歯原性上皮細胞を間葉転化なくして維持培養できるかにかかっている。そこで、EMTに非常に重要な役割を果たすTGF-βの阻害薬を用いて培養する方針である。さらに3次元培養にした際に歯原性上皮が維持できる工夫を行うために、分化誘導培地を再検討する必要がある。in vivo組織再生に関しては、移植部位や方法を徹底的に検討する必要がある。
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Causes of Carryover |
コスト効率の良い試薬・備品を購入したことによりわずかの残が出てしまったため、予定額に余りが出てしまった。この残額で最終年度に余りの金額分で必要な試薬の追加購入が可能となりより良い実験が遂行できると考えられる。
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