2022 Fiscal Year Annual Research Report
顎口腔組織幹細胞を用いたオルガノイド試験管内再構築法確立のための革新的基礎研究
Project/Area Number |
19K10183
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
阿部 成宏 日本大学, 医学部, 助教 (00510364)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 幹細胞 / 顎口腔組織由来幹細胞 / 歯髄幹細胞 / 歯根膜幹細胞 / 口腔粘膜幹細胞 / オルガノイド |
Outline of Annual Research Achievements |
【緒言】ヒト歯のオルガノイド研究においてES細胞やiPS細胞などの多能性幹細胞からの歯のオルガノイドへの誘導に関しては極めて困難である。そこで重要なのが、歯を構成している個々の細胞を再構築(アッセンブロイド)することがまずは目標となる。そのうち歯髄、歯根膜細胞および口腔粘膜乾漆細胞は神経堤幹細胞様特性を保持している。しかしながら各組織由来細胞の違いやア再構築後のマーカーについて検討されていない。【材料および方法】ヒト根未完成歯抜歯時に歯乳頭、歯根膜および口腔粘膜組織を同一患者より採取し、多能性細胞を単離し、幹細胞生物学的に解析を行った。【結果】全ての組織由来細胞は、大部分が神経堤幹細胞マーカーであるnestin+/CD44+細胞集団であり、細胞生物学的解析では差は認められなかった。網羅的遺伝子解析の結果、歯乳頭はCD24+/CD56+、歯根膜はCD24-/CD56+、口腔粘膜ではCD24-/CD56-であった。これらは、ヒト組織においても同様の所見を示した。in vitro分化能に関しては、全ての組織由来細胞が神経堤細胞系統への分化能を保持していたが、硬組織形成細胞分化能では、歯乳頭および歯根膜由来細胞が脂肪細胞分化能では口腔粘膜由来細胞が有意に分化能は高かった。また、in vivoでの硬組織再生は、歯乳頭由来細胞が歯根膜および口腔粘膜よりも有意に高かった。【考察】各組織由来細胞は単純な解析では同様の神経堤幹細胞様の表現型を示すが、その分子マーカーおよび分化能は異なっていた。また、in vivo硬組織再生能は臨床的な各組織の特徴を保持していた。【結語】同一患者から採取した歯乳頭、歯根膜および口腔粘膜由来の多能性細胞の幹細胞特性の違いを初めて報告した。また、今まで未知であった発生段階の歯根形成中の歯の組織特異的分子マーカーとしてCD24およびCD56を同定した。
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