2021 Fiscal Year Annual Research Report
胎生唾液腺原基の培養評価系を用いた器官の凍結保存技術の開発
Project/Area Number |
19K10193
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
柏俣 正典 朝日大学, 歯学部, 教授 (30152630)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 慶太郎 明海大学, 歯学部, 准教授 (10549041)
設楽 彰子 朝日大学, 歯学部, 准教授 (30508718)
大野 雄太 朝日大学, 歯学部, 講師 (30796644)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | マウス顎下腺原基 / 分枝形態形成 / 凍結保護薬 / EGF / シグナル伝達機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
培養顎下腺原基の分枝形態形成の評価系とEGF受容体のシグナル伝達経路の活性化状態を観察することによって凍結保護薬(10% DMSO含有DMEM/F12 [10%DMSO]、TC Protector1 [TC]およびCELLBANKER [CB]と緩慢凍結(Mr. Frosty)の効果を検討した。凍結群の顎下腺原基は凍結保護薬に浸漬したのちディープフリーザーにて一夜保存した。また、同様に浸漬させた顎下腺原基はMr. Frosty内で緩慢な温度低下(-1℃/min)で凍結させた。凍結後の顎下腺原基は解凍したのちDMEM/F12培養液に浮かべたNuclepore膜上で器官培養を行い、分枝形態形成を評価した。同様に解凍した顎下腺原基をDMEM/F12培養液に浮かべたNuclepore膜上で器官培養を行ったのち、EGFで刺激して顎下腺原基内のERK1/2とAKTのリン酸化状態をWestern Blot解析により観察した。凍結保護薬を含まないDMEM/F12培養液中で凍結した顎下腺原基の分枝形態形成は全く観察されなかった。しかし、10% DMSO群、TC群およびCB群で凍結した顎下腺原基では分枝形態形成が観察された。これらのうちCB群の顎下腺原基では高度な分枝形態形成が確認された。Mr. Frosty内にCB中で凍結した顎下腺原基の分枝形態形成は、冷蔵保存(4℃)された顎下腺原基の分枝形態形成とほとんど差異はなく、凍結の影響がほとんど観られなかった。また、CB中で凍結保存した顎下腺原基と冷蔵保存状態の顎下腺原基のERK1/2とAKTのリン酸化状態は変化しないことから、CBは顎下腺原基のシグナル伝達系においても保護効果を有していると判断された。以上の結果から、少なくとも小さな器官である胎仔マウス顎下腺原基はCBなどの凍結保護薬内に浸漬した状態で凍結保存が可能であることが示唆された。
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