2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K10206
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岡崎 洋平 広島大学, 病院(歯), 助教 (00706898)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 泰彦 広島大学, 医系科学研究科(歯), 准教授 (00253097)
吉原 久美子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (90631581)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 抗菌 / 歯科用接着剤 / 塩化セチルピリジウム / モンモリロナイト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,「抗菌活性を再生できる新規抗菌性接着システムの開発」である。申請者らが開発した無機系抗菌剤「塩化セチルピリジウム担持モンモリロナイト(CPC-Mont)」は,抗菌活性を再生する機能を有しており,開発中のCPC含有洗口剤と組み合わせることで,抗菌活性の永続性を可能にするものと考える。 初年度は①CPC-Mont至適含有率の材料学的検証および②CPC-Mont至適含有率の細菌学的検証から至適CPC-Mont含有率を決定した。①CPC-Mont含有接着剤について,接着試験により,至適含有率を材料学的に検証した。本研究では,セルフエッチングタイプのCLEARFIL SE BOND 2(C-SE2; Kuraray Dental)を基剤として使用し,CPC-Montの含有率を1,3,5wt%に調製した。接着試験として微小接着強度を測定し,C-SE2_5wt%が他の濃度に比較して有意に低い値を示した。C-SE2_3wt%はC-SE2_0wt%と比較して有意差を認めなかった。サーマルサイクルによる負荷をかけた後の接着強度に関しても同様の結果を認めた。さらにマイクロラマン分光法を使用し,光硬化時の重合率を測定した。光硬化後24時間度および7日後において,C-SE2_5wt%は他の濃度と比較して有意に低い値を認めた。②CPC-Mont含有歯科用接着剤について,CPC-Mont至適含有率を細菌学的に検証した。Streptococcus mutansはC-SE2_5wt%ではC-SE2_0wt%と同様に細菌の増殖を認め,対照的にC-SE2_1wt%およびC-SE2_3wt%は抗菌性を示した。 以上より,CPC-Mont含有接着剤の至適濃度は,有効濃度1および3wt%であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の2019年度の研究計画は,無機系抗菌剤CPC-Mont至適含有率の①材料学的検証,②細菌学的検証から③CPC-Mont含有率の決定であった。 現在,CPC-Montの試適含有率の範囲が確定し,最終検証を行っている。そこで,2020年度の研究計画である「抗菌性接着システムの抗菌活性の消失と再生の検証」における,①長期蒸留水中浸漬後の抗菌活性の検証,②CPC含有溶液中浸漬後の抗菌活性の検証のうち,前半の研究計画①を2019年度に前倒して行った。2020年度以降は,後半の研究計画②から行う予定である。2019年度の成果は,9月4~7日にオランダ王国アムステルダムにて開催された18th meeting of the International College of Prosthodontists で発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度には,当初の研究計画通りに,③長期蒸留水中浸漬後の抗菌活性の検証および④CPC含有溶液中浸漬後の抗菌活性の検証から抗菌性接着システムの抗菌活性の消失と再生について検証する。③長期蒸留水中浸漬によるCPC溶出量を測定し,抗菌活性の消失を検証する。試料作製はコントロールおよびCPC-Mont含有接着剤を光硬化させ,円板試料(直径0.7mm,厚さ2mm)とする。CPC溶出量の測定としてICP発光分光分析装置を用いる。CPC溶出量を測定する。抗菌試験により,抗菌活性の消失を検証する。④CPC含有溶液に浸漬後,同様のCPC溶出量の測定および抗菌試験により,抗菌活性の再生を検証する。 2021年度には,当初の研究計画通りに,⑤CPC含有洗口剤に浸漬する時間および回数による抗菌活性の検証する。CPC溶出量測定により,抗菌性接着システムの抗菌活性の再生を評価し,CPC含有洗口剤の有効性を検証する。
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Causes of Carryover |
英語論文作成・添削料として計上していたものの、年度をまたぐ形となってしまった。2020年4月、5月に使用予定である。
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Research Products
(1 results)