2021 Fiscal Year Annual Research Report
痛みを伴うのに咬みしめはどうして習癖に移行するのか?-筋抵抗性変化との関連-
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19K10210
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
鳥巣 哲朗 長崎大学, 病院(歯学系), 講師 (80264258)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 比呂司 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (40229993)
多田 浩晃 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (70779404)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 不動化 / 顎筋 / 咀嚼筋痛障害 / 慢性疼痛 / 超音波診断装置 / エコー輝度 / 標準化 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔顔面領域において咀嚼筋痛障害は臨床的に遭遇することが多い慢性疼痛疾患である。我々はこれまで慢性疼痛発現のメカニズムに関し調査してきた。 本研究の目的は、疼痛過敏状態の固定化・維持に関連している因子を調べることである。可能性がある因子として、伸張性運動の事前負荷や不動化による粘弾性の変化に着目した。筋の不動化に伴い筋内および筋膜の線維化や脂肪化が進行することが知られている。これらの筋の質の変化により超音波画像では画像のエコー輝度が上昇することが四肢の筋で報告されている。 本年度は咀嚼筋のエコー輝度計測値の再現性、エコー輝度と筋痛や顎機能評価項目との関連性を調査した。超音波診断法は放射線被曝することなくチェアサイドで比較的簡単に患者の来院毎の筋の状態を評価できる可能性がある。しかし画像採得時の条件(プローブの接触圧、接触時の方向など)によって得られる画像が変化することが報告されている。そのため計測値の標準化を考慮した撮影方法が重要である。また術者内、術者間における計測値の変動も考えられるため、再現性のある計測方法の決定法が必要である。本年度は、異なる条件で撮影した画像を比較するための撮影時の標準化法として、ジェル埋入カプセルや輝度を調整したゲルを咬筋表層において同時撮影し標準化を試みた。しかしこれらの方法ではジェルカプセルやゲルの下層の部分の輝度が影響を受けその他の部位と差が生じた。そのためこれらゲル等は用いず、被験者自身の皮下組織の平均輝度を標準化のベースとして利用した。また、筋膜および筋内の輝度計測方法の定義を考案し、級内相関係数を用いて術者内、術者間における計測値の信頼性を検討した結果、今回の標準化および計測定義を用いることでエコー輝度計測において十分な信頼性を得ることができた。今後は患者の機能評価項目(疼痛レベルや開口量)との関連性をさらに詳しく調査していく。
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