2019 Fiscal Year Research-status Report
Comprehensive analysis of high-translucent dental zirconia ceramics
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19K10239
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
稲垣 亮一 東北大学, 歯学研究科, 講師 (60260444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 圭祐 東北大学, 歯学研究科, 准教授 (30431589)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ジルコニア / 高光透過性 / CAD/CAM / 強度 / 結晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画に従って、5 mol%イットリア安定化ジルコニア(5YZ)の強度試験および結晶構造の評価を行った。5YZの代表としてLava Esthetic Zirconia(3M/ESPE)を実験に用いた。またコントロールとして3 mol%イットリア安定化ジルコニア(3YZ)のLava Plus Zirconia(3M/ESPE)を用いた。各材料から板状試料を80個ずつ作製し、半数を低温劣化試験に用いた。低温劣化試験では、試料に対して134℃で50時間のオートクレーブ処理を行った。機械的強度は三点曲げ試験で、結晶構造はX線回折分析(XRD)と電子顕微鏡観察(SEM)で評価した。 三点曲げ試験の結果をワイブル統計で解析したところ、5YZの曲げ強度は3YZよりも約330 MPa低いことが分かった。また、低温劣化により、5YZでも3YZでも曲げ強度の低下を認めた。XRDの結果、低温劣化処理なしの場合は、5YZも3YZも正方晶と立方晶で構成されているが、5YZでは立方晶が多く、3YZでは正方晶が多いことが分かった。低温劣化処理をすることで、3YZでは正方晶が著しく減少し、単斜晶の生成を認めた。また、5YZにおいても低温劣化処理によりわずかな単斜晶の生成を認めた。試料の横断面をSEMで観察したところ、表層部における結晶層の相変態を認めた。3YZでは、表層部に一様な相変態層が形成されているのに対して、5YZでは相変態のスポットを所々で認めた。 以上の結果より、5YZは安定な立方晶を多く含んでいるため、結晶構造の観点からみると3YZよりも低温劣化に対して抵抗性が高いことが示唆された。しかしながら、5YZにおいてもわずかに単斜晶が生成され、相変態に伴って微小亀裂含む表層欠陥部が生じることが分かった。この部位が破折の起点になり、5YZにおいても低温劣化処理により強度が低下することが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた5YZの実験を行い、予定していた結果が得られ、予定していたよりも多くのデータが得られた(上記の研究概要のデータに加え、ラマン分光の結果や動的硬さ試験の結果も得られている)。しかしながら、4YZの計画していた実験が未達になっており、2年度目に実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
3YZと5YZの機械的特性や結晶構造に明瞭な違いを認めたため、それらの原因となる要因を詳細に検討する予定である。また、ジルコニアブロックの半焼結体の分析も行い、完全焼結が結晶構造や組成に及ぼす影響を併せて評価する。実験用の5YZや3YZなどの材料は、すでにメーカーから提供を受けているため、2年度目も計画通り迅速に研究を進められる予定である。これらの実験と並行して実験に用いる4YZの選定を行う。候補としては、DDcubeX2(Dental Direkt)などを考えているが、実験材料としての入手・加工のしやすさを考慮して検討を進める。
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Causes of Carryover |
年度末に計画していた国際学会が新型コロナウイルスの蔓延のために中止となったため、旅費が一部未使用となった。国際学会での研究発表および情報収集は2年度目に行うこととする。また、計画していた一部の実験(4YZの実験)が未達となっており、繰越金が発生したが、2年度目に試験を実施するために使用する。
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