2021 Fiscal Year Annual Research Report
Comprehensive analysis of high-translucent dental zirconia ceramics
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19K10239
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
稲垣 亮一 東北大学, 歯学研究科, 講師 (60260444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 圭祐 東北大学, 歯学研究科, 准教授 (30431589)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ジルコニア / 高光透過性 / 結晶 / イットリア |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度の研究では、高光透過性歯科用ジルコニアとして、Lava Esthetic Zirconia(LEZ)とKatana UTML(K-UTML)を用いた実験を実施した。X線蛍光分析の結果、イットリア濃度はLEZで8.8 mass%, K-UTMLで11.0 mass%であることが分かった。また、X線回折(XRD)の結果、両材料とも立方晶ではなく擬立方晶(立方晶に近い正方晶)が主たる結晶相であることが分かった。定量分析の結果、LEZでは擬立方晶が65.7 mass%、正方晶が32.0 mass%であり、K-UTMLでは擬立方晶が80.9 mass%, 正方晶が13.3 mass%であった。この結晶組成の違いは、材料のイットリア濃度の差に由来すると考えられる。機械的試験の結果、LEZの曲げ強度は407 MPa、硬さは1353 Hv、K-UTMLの曲げ強度は465 MPa、硬さは1353 Hvであることが分かった。サンドブラスト処理により、曲げ強度のわずかな増加(LEZ:488 MPa, K-UTML:470 MPa)と硬さの有意な増加(LEZ:1581 Hv, K-UTML:1595 Hv)を認めた。XRD分析の結果、サンドブラスト処理により菱面体晶の生成が認められた。菱面体晶は擬立方晶や正方晶よりも体積が大きいため、材料表面で圧縮応力が生じ曲げ強度や硬さの増加につながったこと考えられる。 一連の研究を通して、高光透過性歯科用ジルコニアの曲げ強度は、従来の3 mol%イットリア安定型ジルコニアの半分程度であるが、他の高強度歯科用セラミックス(二ケイ酸リチウムなど)と同等の強度を示すことが分かった。一方、サンドブラスト処理などにより結晶構造の変化を伴って機械的性質が変化するため、臨床で高光透過性歯科用ジルコニア用いるにあたっては材料特性の理解が重要であることが示唆された。
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Research Products
(2 results)