2020 Fiscal Year Research-status Report
AIを用いたCAD/CAMコンポジットレジン冠の長期耐久性向上の試み
Project/Area Number |
19K10244
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山口 哲 大阪大学, 歯学研究科, 准教授 (30397773)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今里 聡 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (80243244)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 人工知能 / 機械学習 / CAD/CAMコンポジットレジン冠 / 修復材料 / 長期耐久性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,国内で入手可能な全てのCAD/CAM冠用コンポジットレジンの組成と疲労試験により得られるデータを用いて,現在臨床応用されている材料よりもはるかに高い長期耐久性を達成できる理想的な組成を人工知能(Artificial Intelligence: AI)の中でも特に機械学習を用いて明らかにすることを目的とした. 研究実施計画に基づき,段階的に研究を遂行した結果,本年度は,昨年度からさらに3種の市販品を加えて合計で14種のCAD/CAM冠用コンポジットレジンを対象とした学習モデルの基盤構築に成功した. 1. CAD/CAM冠用コンポジットレジンを構成するフィラーとモノマーの組成を学習用の入力データとした.昨年度の入力データにはフィラーの含有率を含めていたが,より組成が機械的強度に及ぼす影響を詳細に分析することに焦点をあて,入力データをフィラーとモノマーに絞り込んだ.該当するフィラーやモノマーを含有する場合は「1」,そうでない場合は「0」とすることで文字列を数値に置き換えて数学的に扱えるようにした. 2. ランダムフォレスト回帰などの機械学習手法を用いて,作製した入力データをもとに学習モデルを構築することに成功した. 3. 曲げ強さを出力とする学習モデルを試行的に構築し,13種のフィラーあるいはモノマーを対象に8192通りの全ての組み合わせを用いて曲げ強さを網羅的に予測することに成功した.さらに,曲げ強さの向上に寄与している主な要因を突き止めた.初年度と比べて,入力データからフィラー含有率を除外したことで,組成の組み合わせ数を大幅に削減することに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では,市販されている5種のCAD/CAM冠用コンポジットレジンを用いる予定であったが,初年度に5種から11種に,今年度には11種から14種に入力データを作成するために利用可能な市販品が増えた.高精度な学習モデルを生成するためには,未だ十分な数の入力データとは言えないものの,入力データの数が増えることは,構築する学習モデルの精度を向上することに直接的に寄与するため,本研究はおおむね順調に進展していると判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
13種のフィラーあるいはモノマーを組み合わせた場合,約8000通りの試作候補が存在する.初年度の約69万通りの組み合わせ数に比べると大幅に減少しているものの,試作候補の数としては,さらに絞り込む必要がある.これらの試作候補の中には,操作性などの問題から実際には試作できないものや製造規格を満たしていないものなども含まれている.このような開発者が有するノウハウを学習モデルを生成する過程で考慮できるようにする.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大に伴い,International Dental Materials Congress 2020が延期となったことを受けて,当初の計画に含まれていた国内/外国旅費ともに大幅な変更が生じたため.次年度は,英語論文の執筆に重点を置き,論文投稿費,英文校正費や論文のオープン化にかかる費用として利用することを計画する.
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