2020 Fiscal Year Research-status Report
未分化脂肪幹細胞の移植による軟骨内骨化を介した骨形成法と新しい骨再生療法への応用
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19K10259
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
池田 正明 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (20193211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸川 恵理子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (40419263)
池田 やよい 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (00202903)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 軟骨内骨化 / 脂肪幹細胞 / 間葉系幹細胞 / 足場材料 / 肥大軟骨 / 骨形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
従来の幹細胞を移植する骨再生療法は、移植部位の血液循環の不足により、適用できる骨欠損の大きさに限界がある。一方、軟骨細胞は低酸素・低栄養が不足した虚血環境に対して抵抗性をもっている。そのため軟骨を移植して軟骨内骨化を誘導する骨再生法が注目されている。しかしながら、移植に用いる軟骨を培養して作製するのには、多大なコストと労力がかかる。もし、未分化のままの幹細胞を直接、移植して軟骨内骨化を誘導することができれば、軟骨を培養して作製する過程を省くことができる。そこで本研究は、未分化脂肪幹細胞の生体内における自発的な軟骨内骨化を誘導する方法の確立することを目的としている。昨年度までに、以下の2つの課題について検討をおこなった。 (1)肥大軟骨細胞に分化する能力を亢進させる培養条件 軟骨内骨化を誘導するためには肥大軟骨細胞に分化しやすい幹細胞を用いることが重要である。そこで、ヒト脂肪幹細胞や骨髄間葉系幹細胞を用いて肥大軟骨細胞への分化能を増強させる成長因子の検討をおこなった。その結果、効果的であることが知られている線維芽細胞成長因子2(FGF2)に加えて低濃度のTGF-β1を添加すると、骨髄間葉系幹細胞において肥大軟骨分化能および生体内での軟骨内骨化の誘導能を著明に向上させることを見出した。 (2)生体内での軟骨内骨化を誘導するのに最適な足場材料 生体内での軟骨分化・軟骨内骨化に最も適した環境を提供する足場材料を明らかにするため、脂肪幹細胞および骨髄間葉系幹細胞を骨の無機成分を含まない生体吸収性の生体材料と共に生体外で肥大軟骨に分化させた後、免疫不全マウスに移植した。その結果、生体内における軟骨内骨化による骨形成に有効と考えられる足場材料を見出した。しかしながら、その軟骨内骨化誘導に有効であった足場材料を未分化幹細胞と共に移植しても、軟骨内骨化による骨形成は誘導されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度、(1)ヒト脂肪幹細胞の肥大軟骨細胞への分化能を亢進させる培養条件については特に大きな進展はなかったが、骨髄間葉系幹細胞の軟骨分化能、肥大軟骨分化能および生体内での軟骨内骨化の誘導能を向上させる培養条件を見出した。(2)生体内で軟骨内骨化を誘導するのに適した足場材料については、生体内における軟骨内骨化による骨形成に有効と考えられる足場材料を見出した。しかしながら、その軟骨内骨化誘導に有効であった足場材料を未分化幹細胞と共に移植しても、軟骨内骨化による骨形成は誘導されなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
前述の通り、移植に用いる軟骨を個々の患者自身の細胞を用いて作製し、生きたまま移植するには多大なコストと労力がかかる。このことが、骨内骨化を誘導する骨再生法を臨床応用するために最大の課題となっている。本研究はその点を解決するために未分化のままの幹細胞を直接、移植して生体内で軟骨内骨化を誘導することを目指したが、昨年までの実験で、未分化の幹細胞を移植して生体内で軟骨内骨化を誘導することは困難であることがわかった。 それに代わる方法として、移植に用いる軟骨を患者以外の提供者の間葉系幹細胞を用いて作成し、不活化させた後に用いることができれば、この骨再生法を臨床応用するためのコストと労力を大幅に軽減できると期待される。そこで今年度は、昨年度までの解析で明らかになった幹細胞の分化能を向上させる培養条件で培養した脂肪幹細胞および骨髄間葉系幹細胞を軟骨内骨化に有効と考えられる足場材料とともに培養し、生体親和性のある架橋剤で不活性化させた後、マススの生体内に移植して軟骨内骨化による骨形成が誘導されるかどうかを検討する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍による世界的な物流の停滞のため実験に必要な試薬、消耗品の一部の納入が遅れたため、当該年度に計画していた実験が年度内に実施できなかった。そのため次年度使用学が生じたが、翌年度分として請求した助成金と合わせて計画通り使用する予定である。
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Research Products
(3 results)