2019 Fiscal Year Research-status Report
A new strategy for mucosal regeneration by primary adult human epithelial progenitor/"stem cells" keratinocyte from oral mucosa
Project/Area Number |
19K10275
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
宮坂 孝弘 日本歯科大学, 生命歯学部, 准教授 (30190755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮澤 敦子 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (00706997)
古賀 陽子 東京医科大学, 医学部, 准教授 (10392408)
近津 大地 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (30343122)
八重垣 健 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (40166468)
里見 貴史 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (70276921)
松野 智宣 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (80199827)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ケラチノサイト / 口腔粘膜上皮細胞シート / ePUKs / 幹細胞様細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
幹細胞様ケラチノサイト(ePUKs: epithelial Pop Up Keratinocytes)はミシガン大学のFeinberg研究室が発見した新たな多分化能を有する細胞である。このePUKsを用いることで、簡単かつ一度に大量の幹細胞様ケラチノサイトの産生が可能となる。現在、再生医療の現場では多能性幹細胞の有用性に注目した様々な研究が行われているが、臨床現場で必要となる質の高い十分量の幹細胞を採取、または産生することは難しい。また近年、口腔外科手術や外傷などによる口腔粘膜欠損の治療には再生治療(口腔粘膜上皮細胞シート)が用いられるようになったが、満足のいく結果が得られていない。そこで我々は、このePUKsの細胞特性に注目し、独自に開発した培養技術を用い、ePUKsを大量に産生、分化させた新たな口腔粘膜上皮細胞シートを開発するための研究を始めた。 まず、ePUKsを産生するためのヒト口腔粘膜ケラチノサイトの単離および培養を行ったが、今回は口腔粘膜ケラチノサイトのサンプル採取に適した患者数を十分に得ることができなかった。またePUKs培養期間に長期間を要したため、当初の予定通りの実験数をこなすことができなかった。しかし、産生されたePUKsからその産生数、サイズ、生存率を評価したところ、サンプルを採取した患者の年齢によってその性質が異なるということが分かった。より若い患者から採取した口腔粘膜ケラチノサイトから産生されたePUKsは高齢者から採取されたそれよりも産生量は多く、サイズが小さかった。また生存率は高いという結果が得られた。これらより、若年者から採取した口腔粘膜ケラチノサイトは高齢者から産生されたePUKsよりも、より幹細胞様ケラチノサイトに近いのではないかと考えられる結果となった。しかし、サンプルの数が十分量ではないため今後も同様の評価を繰り返し行っていく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒト口腔粘膜より単離した初代ヒト口腔粘膜ケラチノサイト由来ePUKsの生物学的評価を実施するにあたり、令和元年6月に日本歯科大学倫理委員会で承認(承認番号:NDU-T2019-06)された。その後、日本歯科大学附属病院口腔外科より供与された5症例の口腔粘膜組織から初代ヒト口腔粘膜ケラチノサイトを従来の方法(In Vitro Cell Dev Biol Anim,54(6):413-422,2018)によって単離した。5名中3名の患者は採取された口腔粘膜組織が小さいため、もしくは、年齢が高齢であったために増殖するまでに長期間を要し、さらにはePUKsの産生量が不十分であった。そのため、当初行う予定であったePUKsの生物学的評価(ePUKs産生数、ePUKsサイズ、ePUKs生存率)を詳細に解析することができなかった。また、生物学的評価と並行して行う予定であったフローサイトメトリーを用いた評価も、十分量のePUKsが獲得できなかったという理由から行われていない。加えて、令和2年1月以降、我が国の新型コロナウイルスの影響で患者数の激減と附属病院における観血外科処置縮小に伴いその後のサンプル採取が困難となってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの影響で日本歯科大学附属病院診療の大幅な縮小に伴い令和2年4月以降は完全に患者からのサンプル採取は困難となってしまった。 今後は日本歯科大学附属病院の診療の通常再開に合わせて迅速に患者からサンプル採取を実施し、口腔粘膜ケラチノサイトの単離、およびePUKsの培養を随時開始して行く予定である。その際、若年者からのサンプル採取に重点を置き、フローサイトメトリーでのePUKsの生物学的評価に迅速に着手する。ePUKsの産生数、サイズ、および生存率の評価に加えて、フローサイトメトリーでの生物学的評価の結果を踏まえて、口腔粘膜上皮シートの作製に取り掛かる予定である。口腔粘膜上皮シートの評価は当初の予定通り、in vitroでの免疫蛍光染色、ならびに口腔粘膜損傷モデルラットを用いたin vivoでの動物実験で評価を進めていく。
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Causes of Carryover |
令和2年1月以降、我が国の新型コロナウイルスの影響で患者数の激減と附属病院における観血外科処置縮小に伴いその後のサンプル採取が困難となってしまい、研究に遅れが生じている為。
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