2019 Fiscal Year Research-status Report
再生組織におけるECM-細胞間調節機構の解明とアログラフトの実現化
Project/Area Number |
19K10281
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浅輪 幸世 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (10769912)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西澤 悟 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (00646200)
星 和人 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (30344451)
疋田 温彦 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (60443397)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 軟骨再生医療 / 脱細胞化ECM / 足場素材 |
Outline of Annual Research Achievements |
先行研究より再生軟骨を脱細胞化させることに成功し、アログラフトに利用可能な足場素材の可能性を見出した。さらにアログラフトを実現させるためには、脱細胞化した再生軟骨基質を用いて、細胞外基質(ECM)-細胞間接着およびECM分解機序を詳細に解析し、軟骨組織の免疫特権の獲得機序を解明する。2019年度は、同系再生軟骨における組織再構築機序の解明するために、同系再生軟骨の細胞接着と分解酵素の阻害実験を行い、軟骨形成の影響を検討した。コントロールは同系細胞による通常培養を行う。先行研究にて確立した脱細胞化ECMに同系マウス細胞を注入し、接着分子もしくは分解酵素の阻害剤を培地に添加して培養を行なった。軟骨組織で報告されているインテグリンの阻害抗体やαVβ3を特異的に阻害するshikonin、RGDペプチド、フィブロネクチン抑制剤と分解酵素であるMMPsは軟骨細胞で発現が報告されているMMP-1、2、3、13と膜型MMPsのMT1-MMPに対する各インヒビターと内因性の阻害剤であるTIMPを使用した。各インヒビターは細胞障害性のない最適濃度を検討しつつ、インヒビターを添加した軟骨増殖培地で3週間培養後、遺伝子発現、生化学的定量を評価している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先行研究にて軟骨細胞はアロ脱細胞化再生基質を足場として利用できることが明らかとなった。さらに、ゼノグラフトの可能性を検討するため、ヒト脱細胞化基質にヒト細胞もしくはマウス細胞を挿入すると、ヒト脱細胞化基質にはマウス細胞は遊走できず、生着できなかった。これらの結果より、基質と細胞間には密接な関連性があり、それは蛋白レベルでの種適合性が関与している可能性が推測された。本年度は、確立した脱細胞化ECMに同系マウス細胞を注入し、接着分子もしくは分解酵素の阻害剤を培地に添加して培養を行ない、各インヒビターの最適濃度を検討した。
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Strategy for Future Research Activity |
実験結果をもとに、コントロールの同系再生軟骨と比較して、遊走性や増殖および軟骨形成が抑制される因子を選定する。次に、組織再構築を促す再生誘導因子の同定を行う。選定した候補因子のRNAiによる機能解析を行い、再生制御因子を同定する。pSINsi-hU6 DNAを用いて選定したインテグリン、MMPsに対するshRNA発現レトロウィルスベクターを構築し、RetroNectinを用いて遺伝子導入を行い、選定因子のノックダウン細胞を作製する。機能抑制した同系細胞を脱細胞化ECMに注入し、培養後、組織学的、生化学的解析を実施し、電子顕微鏡観察による微細形態変化、細胞遊走性や増殖抑制による軟骨形成不全を確認することにより、組織再構築に関連する再生誘導因子を同定する。
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Causes of Carryover |
本年度は、まず現有する抗体を使用したため節約が可能となった。動物実験も必要最低限に留めた。次年度は、インヒビター、抗体や遺伝子導入に必要な薬剤を購入する予定である。
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