2020 Fiscal Year Research-status Report
ミトコンドリアダイナミクス異常が唾液腺機能に及ぼす影響の検討
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19K10287
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
樋口 仁 岡山大学, 大学病院, 講師 (30423320)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / 代謝 / 酸化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ミトコンドリアダイナミクスが癒合方向に促進されているTmem135変異マウスと、ミトコンドリアダイナミクスが分裂方向に促進されているTmem135トランスジェニックマウスの両マウスにおいて、唾液腺での表現系を検討することにより、唾液腺におけるミトコンドリアダイナミクスの機能的役割を検討することである。 2020年度はTmem135変異マウスの唾液腺における遺伝子発現変化を網羅的に解析した。8ヶ月齢のTmem135変異マウスおよび野生型であるC57BL/6の顎下腺からRNAを抽出し、マイクロアレイ解析による発現変動遺伝子の抽出および変動遺伝子の結果を用いたGene Ontology(GO)解析を行った。その結果、GO解析において「Biological Process」でsmall molecule metabolic process、carboxylic acid metabolic process、lipid metabolic process、fatty acid metabolic process、oxidation-reduction process、「Molecular Function」でoxidoreductase activity、「Cellular Component」でmitochondrion、mitochondrial envelope、mitochondrial membraneのGO Termの亢進を認めた。これらの結果より、Tmem135は細胞における代謝、酸化ストレスに関与し、ミトコンドリアと関連が深い遺伝子であることが考えられた。これらの結果は、これまでに我々が同遺伝子に関して得てきた所見と極めて合致したものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2019年度の年度末にTmem135トランスジェニックマウスを、研究協力者である米国ウィスコンシン州立大学マディソン校、Dr. Ikedaから譲渡を受けるように計画をしていたが、coronavirus disease 2019の影響による研究協力者研究室のロックダウンにより、今現在も譲渡を受けることが出来ていない。そのためTmem135トランスジェニックマウスにおける唾液線機能の評価と唾液線の組織学的検討のための同マウスの繁殖を開始出来ていない。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、研究協力者研究室のロックダウンも解除されたため、Tmem135トランスジェニックマウスの譲渡の手続きを早急に進める。譲渡を受け次第、同マウスの繁殖を行い、唾液線機能の評価(唾液分泌)と唾液線の組織学的検討を行う。またTmem135トランスジェニックマウスの顎下腺のマイクロアレイ解析も行い、Tmem135変異マウスとの比較を行う。 さらにTmem135変異マウスにおいては、同マウスの顎下腺のミトコンドリアを電子顕微鏡で観察し、電子顕微鏡レベルでのミトコンドリアの形態変化の有無を観察する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は20,000円程度であり、概ね計画通りに使用している。次年度使用額は2021年度のマウスの飼育費に充当する予定である。
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