2019 Fiscal Year Research-status Report
気道流体解析を用いた睡眠時無呼吸症患者の効率的な顎骨移動に関する検討と病態解明
Project/Area Number |
19K10294
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
外木 守雄 日本大学, 歯学部, 教授 (50217519)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠塚 啓二 日本大学, 歯学部, 助教 (30431745)
佐藤 貴子 日本大学, 歯学部, 講師 (40398863)
西久保 周一 日本大学, 歯学部, 助教 (40408357)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 閉塞性睡眠時無呼吸症 / 数値流体力学シミュレーション / 上下顎前方移動術 / 気道変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
閉塞性睡眠時無呼吸症(Obstructive sleep apnea:OSA)に対する睡眠外科として上下顎前方移動術(Maxilla-Mandible advancement:MMA)がある。しかし、本術式による顎骨移動を計画する時点で、どの程度移動すればどの程度の気道が拡大するか、上気道の抵抗を軽減するためにはどのくらい移動するべきか不明な点が多い。本研究の目的は、MMAを睡眠外科として応用する際に、上下顎骨の移動量と術前後における気道の変化を予測するモデルを確立することである。顎変形症患者で、MMAを施行した患者を対象とし、術前後の気道変化による機能改善効果を数値流体力学(Computational Fluid Dynamics:CFD)を用いて検討し、MMAの有用性およびシミュレーションによる治療介入の可能性の検討を行った。 まずは、術前および術後1年時に治療目的で撮影された医科用CTより得られたDICOMデータより気道と軟組織の境界を抽出し、STLファイルの作成をおこない解析モデルを作成した。作成したモデルからメッシュを作成を行った。解析格子は6面体、4面体、ピラミッド、3角柱、境界層等の要素を組み合わせた非構造ハイブリッドメッシュを用いることで、顔表面、鼻腔、副鼻腔、咽頭などの複雑な形状を正確にモデル化することが出来た。また、CT撮影時と同時期に鼻腔通気度検査を行い、得られた患者個々の実測値をシミュレーション時の流量として設定し、CFDによる流体シミュレーションを行った。これまで生体に対する流体解析はシミュレーション結果が実際の生体の事象を再現できているか確認できないことが問題として挙げられていたが、この点において、鼻腔通気度で実際の患者の実測値を使用することで改善し、吸気時に、シミュレーションと実測値は定性的にほぼ一致した結果が得られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対象は咬合の改善を目的とし、当院口腔外科及び歯科矯正科を受診した患者で側方単純撮影のX線写真をNorthwestan分析法に則り骨格分析を行い、顎変形症と診断された患者のうち、顎矯正手術を施行した患者である。さらに対象患者のうち、上下顎を前方に移動した症例で術前および術後1年経過時に診断、治療のために撮影した3DCT画像を用い、本研究の趣旨に同意が得られた患者である。対象症例については、順調に症例は増えてきている。また、研究方法については、解析格子の作成は色々な工夫が必要であり、条件設定に難渋はしたものの、ある程度のモデル化の確立はできてきているため、おおむね順調に進展していると判断した。 本申請課題に関する学会発表も3回以上行っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
手術前に3次元シミュレーションと1次元モデルで計算を行い、手術後の鼻腔から喉部における拡大した流路断面積を予測して、その予測から1次元モデル計算を行うプロセスを繰り返すことで、手術での最適な各部位の移動量の検討に有効な予測データを提供できると思われる。また、手術後にシミュレーション、実測及び1次元モデル計算を行って、予測値との差異を反映した修正をモデル計算にフィードバックすることで、モデルの精度を更に向上して行くことができると考えられる。現在までの結果から、気道モデルの構築は行えて来ていることから、更なる症例数を重ねるとともに、実際の鼻腔通気度の計測と同等にあわせるために、呼気時、左鼻、右鼻に分けての検討も必要になる。さらなる解析を行っていく。
|
Causes of Carryover |
理由:研究自体は順調に進んだが、コロナウイルスの関係で、予定していた学会参加が中止になったこと、また、論文校正で必要である予算を考えていたが、論文作成が遅れてしまい、費用を使用しなかったため、次年度への繰り越し金が生じてしまいました。 使用計画:次年度未使用額と令和2年度助成金を合わせて、流体解析ソフト、簡易睡眠検査や鼻腔通気計の消耗品等に使用していく。また、今後も積極的に学会発表、研究論文の発表を行っていきたい。
|
Research Products
(9 results)
-
-
[Presentation] 顎骨の移動が上気道の生理学的抵抗の変化に及ぼす影響について2019
Author(s)
阿崎 宏昭, 篠塚 啓二, 山縣 加夏子, 草野 明美, 中村 亮太, 青木 淳也, 柳川 圭一, 西久保 周一, 佐藤 貴子, 清水 治, 磯野 史朗, 外木 守雄
Organizer
第44回日本睡眠学会定期学術集会
-
-
-
-
-
-
-