2020 Fiscal Year Research-status Report
口腔粘膜重層培養系を用いたmTOR阻害剤による口内炎発症機序の解明
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19K10307
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
北村 信隆 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任教授 (90224972)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武井 延之 新潟大学, 脳研究所, 准教授 (70221372)
中田 光 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任教授 (80207802)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | シロリムス口内炎 / 発症機序 / 口腔粘膜重層培養 / 細胞間接着因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
ラパリムス錠は我が国ではリンパ脈管筋腫症の治療薬として承認されている。最も頻度が高い有害事象は口内炎で、シロリムス口内炎と呼ばれている。臨床所見はアフタ性で基底膜に及ぶ深い潰瘍は創らず、浅く円形の形状を呈する。内服後半年間で85 %以上の患者が発症し、患者のQOL を低下させている。 2017 年のLAM研究会において、ラパリムス錠服用後におこる小球性低色素性貧血と口内炎発症の関連について報告し、2018 年は0.06mM/L Ca存在下で、単層培養による口腔粘膜細胞の増殖と成長に0~10nM のシロリムスが抑制的に働くことを報告した。しかし、0~10 nM における重層口腔粘膜細胞の増殖、接着、成長に与える要因は不明である。 そこで、Ca濃度0.06mM/Lから開始して、口腔粘膜細胞をカルチャーインサート上に4週間重層培養し、液面を下げて、1.2mM/L Ca濃度にて疑似口腔粘膜組織を作製した。その後2週間、Ca濃度を1.2 mMまで上げると最上層が角化する。さらにその後15から26日の疑似口腔粘膜の培地に0、0.1、1、10nMのシロリムスを添加して、細胞増殖、形態や細胞間接着に及ぼす影響を調べた。 その結果、1)単層口腔粘膜細胞の実験系において細胞の大きさの減少が顕著であった。2)重層口腔粘膜組織の実験系において、角化細胞の剥脱が顕著であった。3)この剥離の原因として細胞間接着因子E-cadherinやDesmoglein-3 の用量依存的な発現低下が認められた。 以上のことから、シロリムス口内炎の機序として、接着因子の発現低下による細胞間接着の脆弱化が重要であると思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度の最も大きな予定として、本研究成果を海外(米国フィラデルフィア)の専門学会で報告する予定であったが、昨年からの新型肺炎コロナウィルスの世界的な感染拡大の影響により、中止を余儀なくされたためである。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは本研究成果を海外(米国フィラデルフィア)の専門学会で報告したいと考えているが、現在も感染拡大が続いているため、未定の状態である。
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Causes of Carryover |
研究成果を海外(米国フィラデルフィア)の学会で報告する予定であったが、新型肺炎コロナウィルスの世界的な感染拡大により中止を余儀なくされたため、学会のための諸経費が使用されなかったため。
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